理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1262
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教育・管理系理学療法
2007年診療報酬改定におけるリハビリテーション部門の影響調査
浦田 修田中 敦子林 友紀中山 健太郎渡部 里奈山田 智甲斐 光洋中富 真由美
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抄録
【はじめに】
近年、リハビリテーション(以下、リハ)サービスの必要性がますます重要視される中、2006年の診療報酬改定では「疾患別のリハ日数制限」をはじめとした大幅な改定が行われた。患者・家族やリハ関連職員の一部では、「リハ日数制限廃止を求める請願署名」などが取り組まれ、新聞・報道機関に取り上げられるなどの社会問題となった。その結果、異例ともいえる2007年診療報酬改定が行われ、「リハ日数制限」に関しては、一見緩和されたかたちとなった。しかし、(1)逓減制の導入、(2)医療保険と介護保険のリハの併算定の原則禁止、などの問題点が新たに指摘される改定となった。
今回は、逓減制の導入によるリハ部門における経営的影響調査、及び追跡調査等を実施し、リハ部門経営に関して考察を交えて報告する。
【調査内容及び結果】
2007年3月20日付けで実施した断面調査結果では、急性期・回復期を中心とするA病院では2%(約500万円)、回復期・維持期を中心とするみさき病院では7%(約1,700万円)、同じく回復期・維持期を中心とするB病院では8.5%(約1,200万円)、維持期中心のCリハ病院では10.8%(約750万円)、など全ての事業所で減収予想となった。
次に、当法人が独自に行った2007年4月11日付けの断面調査結果では、外来11.0~12.1%、一般病棟2.4%、回復期リハビリ病棟2.6~3.2%、障害者病棟4.2~6.9%、療養病床6.0%、リハビリ科全体で5.0~5.7%の減収予想となった。
みさき病院における2007年度のリハ科の部門別損益管理(部門受託収益にはリハ料と摂食機能療法31,200千円を含む)における経常利益予算は約72,000千円であり、7%減収予想を想定すると年間1,700千円の経常利益減収が想定された。しかし、逓減制の影響を含めたその他の課題も多く、上半期の集計では年間2,600千円の経常利益減収予想となった。
【考察及びまとめ】
経常利益幅の減少に関する要因としては、(1)リハ逓減制の影響の、(2)新卒者を多く採用した事によって効率的に診療を進めきれていないこと、(3)新卒者の教育・研修に時間を要する、などが考えられた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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