理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1284
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教育・管理系理学療法
当校で作成した臨床実習評価表の紹介
3年間使用によるアンケート結果を含めて
福山 勝彦細木 一成鈴木 学畠山 敦二瓶 隆一木村 哲彦
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抄録

【背景】当校は平成12年より臨床実習を行なっており、これまで臨床実習評価表について検討、改良を重ねてきた。当初は関東地区で使用されてきた評価表を使用していたが、平成16年より、1. 情意領域の評価の改良、2. 実習開始前に学生による今回の実習目標設定と中間時、最終時における見直し、自己評価の記載、3. 実習終了後、担当教員が学生に指導したことや次実習施設への引継ぎの記載を加え、評価実習、総合臨床実習を通して一冊の評価表として作成した。特に情意レベルの評価に関しては、臨床実習教育の手引き(日本理学療法士協会)を参考に、習慣の側面と態度の側面(さらに信頼関係と学ぼうとする態度に分ける)からそれぞれの小項目を評価することとした。評定法は従来の「優、良、可、不可」から、習慣の側面に関しては「習慣化されている、不十分である」、態度の側面に関しては「行動できる、努力している、改善が必要」と評定することとした。また、問題点に関しては具体的にコメントをいただく欄を設けた。
【目的】現在使用している評価表を紹介し、実習指導者(SV)に対し評価表についてのアンケート調査を行なったので、その結果を報告する。
【対象、方法】当校の臨床実習を受け入れている病院、施設136ヶ所のSVに郵送にてアンケート調査を行なった。アンケートの内容は、平成16年度改定した部分について肯定的か否定的かを、4,3,2,1の4段階(4を肯定、1を否定)で回答していただいた。またそれについて意見があれば記載していただいた。
【結果】アンケートの回収率は、59.6%であった。「学生の目標設定、見直し、自己評価の記載の必要か」については、4が69.1%、3が25.9%であった。「情意レベルは評価しやすいか」については、習慣の側面では、4が55.6%、3が39.5%、態度の側面では、4が53.1%、3が43.2%であった。また、「情意レベルの評価方法は現在のほうが良いか」については、4が71.6%、3が22.2%であった。「教員の所見は必要か」については、4が71.6%、3が23.5%であった。「教員の所見は実習指導の上で参考になるか」については、4が50.6%、3が30.9%であったが、2が16.0%みられた。
【考察】今回の調査から、現在使用している評価表はSVからは肯定的であると思われる。
特に情意レベルの評価は、成長過程においてすでに身についている習慣と理学療法士としてふさわしい行動がとれる態度の側面から、臨床実習教育の手引きにもあるように、受け入れ、反応、内面化の成長過程を評価することを目的とした。従来の「優、良、可、不可」の違いが分かりづらいのもであるのに対し、多少一貫性のあるものになったのではないかと考える。さらにSVからの意見を取り入れ検討していきたい。

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© 2008 日本理学療法士協会
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