理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-085
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理学療法基礎系
股関節術後患者のWBI、周径、筋厚についての一考察
渡辺 宏幸
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抄録
【目的】人口股関節置換術(以下THA)、寛骨臼回転骨切り術(以下RAO)患者のリハビリテーションゴールは、下肢筋力と歩行と退院後の日常生活に不安を抱きながら自宅復帰する者もいる.今回、入退院時、退院後3ヶ月の膝伸展筋力を用いた体重支持指数WBI、大腿周径、超音波による大腿前部筋厚を測定、その変化について若干の知見を得たのでここに報告する.

【方法】対象は、平成19年から平成20年にTHA、RAOを施行しリハ目的で当院に入院し調査可能であった女性4名、入院日数58.2±14.8日、年齢50.3±3.4歳、身長155.8±3.4cm、体重50.7±4.3kgである.入退院時及び退院後3ヶ月の術側と非術側の大腿周径、膝伸展力はサイベックスで同一検者が測定、体重と膝伸展力からWBIを算出した.また、超音波測定器を用い大腿前部筋厚を同一検査技師により測定した.入退院時及び退院後3ヶ月の術側、非術側のWBI、大腿周径、大腿前部筋厚にそれぞれ関連性があるか調査した.

【結果】WBI平均は入院時術側0.56、非術側1.20、退院時術側0.78、非術側1.44,退院後3ヶ月術側0.97、非術側1.26、WBI%は入院時47.44、退院時53.77、退院後3ヶ月77.13であった.WBIは術側で増加、非術側が退院後3ヶ月で減少した.大腿周径cm平均は入院時術側39.2、非術側41.2、退院時術側40.7、非術側42.2、退院後3ヶ月術側39.6、非術側41.6であった.周径は術側、非術側とも退院時に増加、退院後3ヶ月で減少していた.超音波による大腿前部筋厚mm平均は、入院時術側12.3、非術側18.5、退院時術側16.5、非術側17.1、退院後3ヶ月術側19.2、非術側22.2であった.筋厚は術側で増加、非術側退院後3ヶ月で増加した.

【考察】WBIは体重あたりの膝伸展筋力を測定し、可能な運動レベルの目安が示されている.WBI0.6~0.9は「階段昇降支持なく可能だが易疲労傾向、スポーツでは思いきった動作できず筋肉痛を伴う」レベル.1.2以上は、「競技スポーツの選手」レベルとされる.WBI術側と非術側の差から、非術側有意の活動をしていると考えられる.退院後3ヵ月にWBI、筋厚、WBI%の平均値は向上した.これは筋量の増加ならびに日常活動量が増えたためと考える.一方、周径は減少したが筋厚は増加したことから、皮下軟部組織の変化や、被検者の家事活動が何らかの関与をしているのではないかと推察された.

【まとめ】4症例の入退院時、退院後3ヶ月のWBI、WBI%、周径、筋厚平均値の差異を求めた.退院後3ヶ月のWBI、WBI%、筋厚平均値の増加が見られ日常活動量の影響が示唆された.今回、症例数が少なく相関関係を見ることができなかった.今後は、症例数を増やし入退院後の変化を長期的に調査し、比較検討することを課題としたい.
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© 2009 日本理学療法士協会
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