理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-132
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理学療法基礎系
広島県下における2008年診療報酬改定の影響調査
髙村 剛平石 勇次鈴木 深雪岩田 学中村 公則内野 真由子兵頭 優幸梶村 政司
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抄録

【はじめに】2008年診療報酬改定がこの4月より施行され数か月が経過しているが、今回の改定で患者様や理学療法士にどのような影響があったか、十分な報告がなくその詳細は不明である.そこで今回広島県理学療法士会員を対象に調査したので報告する.

【対象及び方法】(社)広島県理学療法士会に所属する全会員で質問紙法によるアンケート調査を行った.質問用紙は郵送にて配布し、無記名で記入してもらい、FAX、Eメールもしくは郵送にて回収した.なお、倫理的配慮については(社)広島県理学療法士会において承諾を得、対象者には事前に本調査について説明を行い参加の承認を得た.質問内容は改定前と改定後の勤務先施設基準、回復期リハ病棟の有無、患者様に対する影響の有無、理学療法士の業務量への影響、所属施設の収益への影響、個人収益への影響、疾患別リハ料に認められていない疾患に対する理学療法の取り組みついて、2010年の診療報酬改定に見直してもらいたい事案などである.

【結果】アンケートに関する回答は1264名中386名より得られた (回収率30.5%) .改定前後の勤務先施設基準の変化は心大血管リハ料2が減少(42→20件)したものの、心大血管リハ料1は大きく増加(4→43件)した.呼吸器リハ料1とリハ料2はともに減少していた(1:160→151件.2:24→16件).脳血管疾患等リハ料は改定前リハ料2であった約50%の施設がリハ料3となり、約10%がリハ料1を取得していた.回復期リハ病棟は改定前115件であったが、改定後には基準1が111件、基準2が17件となっていた.今回の診療報酬改定は、患者様にとって影響はない34%、理学療法士の業務量は変わらない45%、個人収益は変わらない77%が、それぞれの項目で一番多い意見であった.疾患別リハ料に認められていない疾患に対する理学療法の取り組みついては、糖尿病に関する運動療法が23件と最も多かった.2010年の診療報酬改定に際して見直してもらいたい事案は、日数制限と単位制限が49件と最も多かった.

【考察】広島県下において今回の改定による施設基準への影響は、呼吸器リハの施設基準のリハ料1と2が減少した結果となった.理由としては、診療報酬点数の高い脳血管リハ料1もしくは2などの施設基準を維持するために返上したと推察される.次に患者様や理学療法士の受ける影響は、改定に左右されていない結果となった.しかし、疾患別リハ料に認められていない糖尿病の運動療法や理学療法の算定日数制限、単位制限など、理学療法士や患者様の環境としては満足のいくものではない.今後、疾患別リハ料に認められていない理学療法の必要性や、算定日数制限などが患者様や理学療法士に及ぼす、具体的な影響内容の情報収集を行い、広島県理学療法士会での対応を模索するとともに、日本理学療法士協会から他団体への陳情などの資料としてまとめ提出していきたい.

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© 2009 日本理学療法士協会
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