理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O1-001
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神経系理学療法
リハビリテーション患者データバンクによる一般病棟脳卒中患者の帰結予測に関する研究
白石 成明松本 大輔鄭 丞媛小嶌 健一柏原 正尚梅原 健一近藤 克則
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キーワード: 脳卒中, 帰結, ADL
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抄録

【目的】本研究の目的は,脳卒中リハビリテーション(リハ)患者の予後に関連する要因を検討することである.
【方法】対象はリハ患者データバンク(DB)に登録された脳卒中患者3,246名のうち一般病棟患者登録の1,844名とした.予後予測分析には,Classification and Regression tree(CRT)を用い,目的変数は退院時ADL(BI, Barthel Index),説明変数は入院時BI, modified Rankin Scale(mRS), Glassgow Coma Scale(GCS)言語, GCS運動,GCS開眼,認知症老人の日常生活自立度(認知度), Japan Stroke Scale(JSS)の手・腕・下肢の運動, 脳卒中病型,年齢,合併症治療の有無, 性別および発病前mRSとした.対象者の内訳は男性1,078名,女性766名で平均年齢は72.0±12.5歳であった.脳卒中分類はラクナ梗塞296名,アテローム血栓性梗塞556名,心原性塞栓252名,その他脳梗塞110名,脳出血は高血圧性369名,その他脳出血130名,クモ膜下出血65名,不明・欠損66名であった.なお,本研究に用いたデータは匿名化処理をし,個人情報保護に配慮した.
【結果】CRTによる層別化の結果,深さレベル3で7つのノードに分類された(モデル精度0.684).説明変数として選択されたのは入院時BI,認知度,JSS下肢の運動機能(JSS下肢),発症前mRSであった.退院時BIの平均は57.2点で,退院時BIに最も影響が大きい変数は入院時BIであった.レベル1では入院時BIが15点以下(ノード1)か16点以上(ノード2)に分割された.ノード1は認知度正常から認知度IIa(ノード3)か認知度IIbからM(ノード4)に分割された.最終的にノード3と4はJSS下肢ABかCかによりノード7(退院時BI予測値61.9点),8(31.6点)と9(31.5点),10(10.8点)に分割された.一方,ノード2は,レベル2で入院時BIが60点以下(ノード5)か61点以上(ノード6)で分割され,ノード5はさらに発症前mRSが0か1のノード11(退院時BI予測値78.0点)か2-5のノード12(56.9点)に分割された.
【考察・まとめ】CRT回帰分析の結果, 入院時BI得点によって影響を受ける変数が異なっていた.すなわち,ノード6(入院時BI>60)は入院時ADLのみ,ノード5(15<入院時BI≦60)では入院時ADLと発症前ADL,ノード2(入院時BI≦15)では入院時ADL,認知度,下肢の運動機能が説明変数となっていた.今後は医師,PT,OT関与などプロセスの変数加えて分析する必要がある.本研究は厚生労働科学研究費助成金(H19-長寿-一般-018)を受けて行った.

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© 2009 日本理学療法士協会
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