理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-316
会議情報

神経系理学療法
当院における早産児のDubowitz神経学的評価
―40例のDubowitz評価と10例の短期的発達評価―
山崎 みちる高畑 靖金城 唯宗小窪 啓之上島 隆秀樋口 妙草葉 隆一藤田 曜生高杉 紳一郎岩本 幸英
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【背景および目的】Dubowitzの新生児神経学的評価(以下Dubowitz評価)は元来、新生児の神経学的特長を明らかにし、スコア30.5点以下をハイリスクとする評価法であるが、近年の報告ではスコアと予後に乖離を認めている場合がある.そこで当施設に入院した児にDubowitz評価と短期的発達評価を行い、周産期情報も含めて相互の関係性について検討した.

【方法】対象は染色体異常および奇形症候群の無い早産児40例(在胎週数23~36週:中央値32.5週,出生体重552~2,578g:中央値1,430g)で、修正40週時にDubowitz評価を行った.修正1歳前後になった10例には短期的発達評価を行った.調査期間は平成19年7月~20年8月とした.Dubowitz評価実施40例には他の周産期情報との関係について検討し、短期発達評価10例には粗大運動能力尺度(Gross Motor Functional Measure:GMFM)と小児用機能的自立度評価法(Functional Independence Measure for Children:WeeFIM)との関係を検討した.検定方法は、スピアマンの順位相関とマンホイットニーのU検定を用い、p<0.05を有意とした.対象児の家族には主治医と担当療法士で評価目的を説明し、文章による同意を得た.また発達援助が必要と考えられ、かつ家族の希望がある児に対してはフォローアップを行った.

【結果】Dubowitz評価中の四肢の屈筋緊張の項目は、呼吸窮迫症候群の罹患例で低く(p<0.05)、人工呼吸器使用日数が長い例ほど低かった(r=-0.41,p<0.01).またDubowitz評価中のAbnormal tone patternを示した群は示さなかった群に比べてApgar score 1分値が低く(p<0.05)、人工呼吸器使用日数が長かった(p<0.05).Dubowitz評価とGMFM及びWeeFIMとの間には関連が認められなかった.

【考察】今回の検討から、Dubowitz評価は児の未熟性や、新生児仮死と関連していると示唆された.短期的発達評価では、傾向が表れなかったが、対象者を増やして検討を行う必要がある.Dubowitz 評価を用いて予後調査をするにあたっては、四肢の屈筋緊張とAbnormal tone patternと発達評価との関係性も調査し、長期間に亘った検討を行う必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2009 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top