理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-457
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骨・関節系理学療法
サイドランジ動作における足部外転角が下肢関節に及ぼす影響
今高 康詞西海 理恵高木 祥橋本 雅至木村 佳記
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抄録
【目的】サイドランジ動作(以下、SL)における踏み込み脚の足部外転角の違いが、下肢関節に加える力学的変化を動作解析により検証した.

【対象】対象は健常男性10名(年齢21.2±1.4歳、身長174±4.5cm、体重65.9±5.2kg、棘果長88.2±3.8cm)とし、本研究の主旨を説明し、被験者全員に実験参加の同意を得た.
【方法】運動課題は、被験者に両手を腸骨稜においた開始立位をとらせ、メトロノームにあわせて、1秒で右側へ最大に移動し、3秒間踏み込んだ肢位で静止、1秒で開始肢位へ戻るSL動作を行わせた.踏み込み脚の足部を0°(以下、SLN)と外転15°(以下、SLT)に規定した2条件を各3回ずつ施行させた.踏み込み脚の移動距離は棘果長の75%に設定し、メトロノームを66bpmに設定した.測定は、3次元動作解析装置(VICON512)及び床反力計(AMTI社製OR6)を用い、サンプリング周波数は120Hzとした.得られたデータを解析ソフトARMO(ジースポート社製)を用いて解析した.算出した関節間力、関節モーメントの値を体重で除して標準化した.2条件の比較には、対応のあるt検定を行い、有意水準を5%未満とした.

【結果】股関節伸展モーメントではSLNが1.1±0.2Nm/kgで、SLTが1.2±0.3 Nm/kg、内転モーメントではSLNが0.6±0.1Nm/kgで、SLTが0.6±0.2Nm/kgであった.膝関節伸展モーメントではSLNが1.1±0.2Nm/kgで、SLTが1.1±0.3Nm/kgであった.足関節底屈モーメントでは、SLNが0.6±0.2Nm/kgで、SLTが0.7±0.3Nm/kgであった.それぞれの条件間に有意差は認められなかった.関節間力の絶対値は、股関節がSLN55.3±20.6 N/kgで、SLT46.5±12.9 N/kgであった.膝関節がSLN75.5±16.6 N/kgで、SLT67.2±11.5 N/kgであり有意差が認められた(P<0.05).足関節がSLN49.2±16.1 N/kgで、SLT50.0±10.2 N/kgであった.

【考察】下腿には生理的な捻転があり、一般的に13~18°外捻位にあると言われている.したがって足位0°では自然な足位ではなく、むしろ下腿内旋もしくは足部内反を誘導していることが考えられる.このような下腿内旋と足部内反は、膝関節の内反・内旋強制に連鎖することから膝関節の力学的ストレスが大きくなると考えられる.今回の結果において足部0°位は、外転15°に比して膝関節の関節間力の増大が認められ、足部肢位の変更により膝関節の力学的ストレスが増加することが示唆された.
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© 2009 日本理学療法士協会
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