理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-464
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骨・関節系理学療法
TKA術後3ヶ月までの治療結果における検討
小林 公子橋本 貴幸村野 勇中安 健瀧原 純渡邉 敏文浅川 育世豊田 和典
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抄録
【目的】TKAは変形性膝関節症(膝OA)において徐痛や支持性向上を目的に施行され、良好な成績が数多く報告されている.今回、術後1ヶ月(1M)と術後3ヶ月(3M)における各指標から治療結果について検討を試みた.
【対象】2007年8月から2008年4月までに当院においてTKAを施行した10症例14膝で主旨を口頭にて説明し同意を得た.内訳は全例膝OAで男性2名、女性8名、手術時平均年齢は72.0±5.4歳、平均身長152.2±7.3cm、平均体重66.5±13.5kg.平均在院日数は30.3±5.4日、術式は全例Mid-vastus approachでNexGen LPS Flex型を使用した.
【方法】術前、術後1M、術後3Mにおいて、膝屈曲ROM、膝伸展ROM、WBI、10m最大歩行速度、疼痛の程度をVASにて調査した.WBIはBIODEX systemを使用し膝関節屈曲70°等尺性運動下にて測定し、算出した.理学療法(PT)は当院プロトコールに沿って実施した.各項目について、術前、術後1M、3Mの結果の推移について多重比較検定を用い検討した.なお、統計学的有意水準は5%未満とした.
【結果】膝屈曲ROMは術前118.2±8.7、術後1M 113.2±13.5、術後3M 113.9±15.3で有意差は見られなかった.膝伸展ROMは術前-10.0±3.4、術後1M-3.9±3.5、術後3M-5.7±5.5であり、術前は、術後1M・3Mに比較し有意に低値であった.WBIは術前0.3±0.1、術後1M 0.2±0.1、術後3M 0.3±0.2であり、術後1Mが術前、術後3Mに比べ有意に低値であった.10m最大歩行速度は術前13.1±3.8、術後1M 12.2±6.2、術後3M 9.5±3.0であり、術後3Mは術前に比べ有意に高値であった.VASは術前60.7±29.1、術後1M 17.4±14.7、術後3M 27.8±24.2であり、術前は術後1M・3Mと比較し有意に高値であった.
【考察】術前に比べ術後1Mでは伸展ROM、VASに関して有意に改善を認めた.これらの指標から手術目的である徐痛や変形の改善、移動能力向上が図れたと考えられる.術後3Mでは、10m最大歩行速度は有意に改善し、WBIは術後1Mで術前に比べ低下し術後3Mで術前レベルに達した.術後1Mでは、術前後の活動性の低下や手術侵襲、人工関節自体の適応期間の影響を受け、一時的に低値を示したと考えられた.術後予後に関して、術後3Mから6Mの間で歩行が習熟されると言われており、最大歩行速度やWBIは今後も改善する可能性があると思われる.また今回、伸展ROMとVASは術前と比較すると、術後有意に改善していたが、術後1Mに比べ術後3Mでは低下傾向であった.当院では術後1Mが積極的なリハ介入期間であることから、退院後の患者の活動様式が大きく影響していると考えられ、これらの指標を認識した上で自主トレーニングや外来頻度を検討していく必要がある.
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© 2009 日本理学療法士協会
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