理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-416
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骨・関節系理学療法
股関節屈曲角度の違いが股関節内旋筋力および股関節周囲筋の筋活動に与える影響について
早坂 仰平尾 利行鈴木 淑実岡田 亨
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キーワード: 股関節内旋, 筋力, 筋電図
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抄録
【目的】Danielsらは徒手筋力検査法(MMT)において、股関節内旋の主な動筋は小殿筋、大腿筋膜張筋、中殿筋前部線維とし、その検査方法を股関節屈曲位90°で行っている.これに対し、近年の諸家の報告では、股関節屈曲角度の変化によって内旋作用を持つ筋は変化すると述べている.本研究の目的は、股関節屈曲角度の違いが股関節内旋筋力および股関節周囲筋の筋活動に与える影響について検討することである.
【方法】本研究に同意を得た下肢に既往のない健常人(男性16名、平均年齢24.8±3.3歳、平均身長172.5±5.2cm、平均体重65.3±7.0kg)を対象とした.測定肢位は椅子座位、股関節外転10°、内外旋0°、膝関節屈曲90°とし、股関節屈曲角度を0°、30°、60°、90°と設定した.各肢位における股関節内旋筋の5秒間の最大等尺性筋力をBIODEXsystem3 (BIODEX社)を用いて測定した.測定間隔は5分間とした.また、筋力測定時に表面筋電図Myosystem1400(Noraxon社)を使用して筋活動の測定を行った.導出筋は、大殿筋上部線維、大殿筋下部線維、中殿筋前部線維、中殿筋後部線維とした.解析区間は筋出力時間5秒間の内、中間3秒間とした.さらに、股関節90°屈曲位で求められた値を100%として正規化し、その他の条件と比較した.各股関節屈曲角度における測定の順序は疲労、学習効果を相殺するために循環法を用いて配置した.統計学的分析には分散分析および多重比較法を用い、各股関節屈曲角度における内旋筋力及び筋活動を比較した(p<0.05).本研究は、当院倫理委員会の承認を得ている.
【結果】股関節内旋筋力は、股関節屈曲90°が屈曲0°、30°と比較し有意に高値を示した.筋電図では、大殿筋上部線維において股関節屈曲90°が屈曲0°、30°、60°に比べ有意に高値を示した.また、大殿筋下部線維においては股関節屈曲90°が屈曲0°、30°に比べ有意に高値を示した.中殿筋前部線維では股関節屈曲90°が屈曲0°、30°に比べ有意に高値を示した.中殿筋後部線維においては90°、60°が0°、30°に比べ有意に高値を示した.その他は、統計学的に有意な差を認めなかった.
【考察】本研究結果から、股関節90°屈曲位では、中殿筋前部線維だけではなく、大殿筋上部線維、大殿筋下部線維、中殿筋後部線維も内旋作用を有している可能性があると考える.関節の角度が変化することで、股関節周囲筋の作用も変化することが示唆された.
【まとめ】股関節屈曲角度の違いが股関節内旋筋力および股関節周囲筋の筋活動に与える影響について検討した.股関節屈曲角度の変化によって内旋作用を持つ筋は変化する可能性が示唆された.
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© 2009 日本理学療法士協会
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