理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-448
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骨・関節系理学療法
全国中学校サッカー大会 メディカルサポート活動報告と今後の課題
西村 直樹奥田 真央村上 成道前田 敏明
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抄録

【はじめに】
平成20年8月20日~24日の5日間にわたり、第39回全国中学校サッカー大会(以下、全中)が長野県で開催された.この大会は、全国9地域の代表32校がトーナメントで戦うもので、我々は全31試合のメディカルサポート(以下、サポート)を行った.サポート要請は、全中実行委員会より長野県理学療法士会社会局スポーツサポート部サッカー班にあった.長野県におけるサッカー競技のサポートを始めてから初の全国規模の大会である.今回、全中での活動内容とサポート結果を検討し、今後の課題と展望をまとめたので報告する.
【活動内容】
大会前に、サッカー班の活動に参加している理学療法士(以下、PT)に対してトレーナーの公募を実施した.トレーナーの知識・技術の共有を目的に事前研修会を開催した.トレーナーバッグ、救急バッグ、AEDは、各会場1つずつ設置するよう準備した.そして、全中実行委員会とは活動内容について複数回の協議を重ねた.大会期間中は、理学療法士17名の協力のもと、全日程で各会場2名のトレーナーを配置した.トレーナーは救護所に待機し、試合前後のテーピング、アイシングなどを行った.試合中のアクシデントに対してもピッチ内外にて救護活動を行った.
【対象と方法】
全32校、全31試合において、応急処置を実施した選手ならびにテーピングなどを希望した選手を対象とした.サポート内容とその結果について集計し検討を行った.本大会の活動は全中実行委員会の責任において行われ、データ等の使用に関しても承認を得ている.
【結果】
大会期間中の全利用者数41名であった.各内訳は以下の通りである.利用時間は、試合前19名、試合中13名、試合後9名であった.傷害部位は、足関節15名、下腿9名、腰背部4名、顔面4名、大腿部3名、肩関節3名、膝関節2名、頭頸部1名であった.傷害段階としては、急性期23名、亜急性期3名、慢性期8名であった.処置内容は、テーピング24名、RICE処置12名、簡易指導8名、止血処置4名、ストレッチ3名であった.
【考察】
全国規模の大会で、事前の広報活動が十分でない中、多くの選手に利用して頂いた.なかでも大会期間中に生じた急性外傷によるテーピング希望者が多い傾向にあった.今大会は、医師不在の為、医師の診察が必要と判断した場合は、トレーナーと大会本部で協議し、医療機関との連絡や救急車を要請する体制をとっていた.しかし、診断を下すことができない我々PTが急性外傷に対して、安易にテーピングをすることの危険性は秘めており、医師不在の現場でのサポート活動の難しさや限界を感じた.今後の課題としては、大会サポートのみでなく、障害予防活動にも積極的に介入していく必要があると考えている.我々は、一昨年度より小学校年代の指導者を対象に障害予防講習会を始めているが、今後は長野県サッカー協会主催の指導者養成講習会への講師派遣などを行っていきたいと考えている.

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© 2009 日本理学療法士協会
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