理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-522
会議情報

内部障害系理学療法
理学療法士における心肺蘇生教育の重要性
村瀬 善彰北村 良彦西脇 雅山田 実貴人
著者情報
キーワード: 心肺蘇生, 教育, BLS
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】
一般市民のAED(Automated external defibrillator. 自動体外式除細動器)使用が可能となった現在、医療従事者が心肺蘇生を迅速に正しく実施できることは当然の義務であるとも考えられる.また、病院内における事故防止や安全管理が強化される中で、病院内急変における対応能力の向上が強く求められるようになっている.新日本版救急蘇生ガイドライン(G2005)に基づいた教育では、心肺蘇生法(以下CPR)において迅速な対応は必要不可欠であり有効な心臓マッサージの実施などを推奨している.そのためにはAEDの設置はもちろん、病院内急変の第1発見者になる可能性が高い理学療法士によってAEDを用いた除細動が実施されることが、病院内における救命率の向上に貢献できると考えられる.さらに、病院内だけでなく介護施設や訪問リハビリテーションなどの現場においても、その必要性は明らかであると考えられる.そこで、医療従事者である我々理学療法士にとって臨床上非常に重要なスキルと捉え、今回、理学療法士のBLS(Basic life support. 一次救命処置)に対する知識・技術の習得に関する調査を実施し、検討の結果に若干の文献的考察を加え報告する.併せて、開催されている講習会などについての現状を紹介する.
【方法】
調査可能であった医療機関に所属する理学療法士を対象とし、CPRに対する関心の程度や知識・BLS関連の講習会参加状況などについての現状を調査し、検討を行った.
【結果】
BLSの認識については、その言葉の意味などを含め非常に乏しい結果であった.BLS技術の必要性については、急性期病院においては必要と考えている割合が高く、急性期施設以外では必要とされていない割合が大部分を示した.また、講習会への参加を希望しているものの、さまざまな理由から講習会受講率が低く、参加をしても充分な技術習得に至っていないことなどが予測される結果となった.
【考察】
G2005においては、早期かつ質の高いCPRと心肺停止の生存率の改善を目的とし、特に胸骨圧迫実施についての強調と改善を勧告した.BLSの教育効果とは、臨床の現場で的確に判断し迅速に対応できるCPRが実施できることである.救急医療の能力は救急専従者だけに限らず、理学療法士を含めあらゆる医療従事者にまたがるものであり、当然その標準化された内容を習得しておかなければならないと思われた.また、心肺停止状態・意識消失状態の現場に遭遇するのは病院内だけにとどまらず、そのような状況に遭遇した時に的確な行動ができることが医療従事者として求められるスキルであり、今後も積極的なリハビリテーション分野における教育が必要であると考えられた.
著者関連情報
© 2009 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top