理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-196
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生活環境支援系理学療法
当施設でのリハビリテーションの動向と終了要因について
土屋 匡
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抄録
【目的】当院では2007年4月より病院併設型老人保健施設「こまくさ」に訪問リハビリテーション(以下訪問リハとする)を開設しました.開設当初は理学療法士1名が通所リハ等を兼務で担当し、現在は理学療法士および作業療法士の2名が通所リハ兼務で対応しています.訪問リハ開設から約1年半経過したので、当施設での訪問リハの動向と更に訪問リハ終了者に着目し終了要因について分析、考察し報告します.
【方法】2007年4月から2008年10月までの利用者61名を対象に訪問リハ記録等を参考に属性および利用者の機能状況やADL機能を中心に約1年半の動向について分析しました.また利用者61名の内、訪問リハ終了者31名についても属性や寝たきり度、利用期間等から終了原因や要因を調査、分析を行いました.
【結果】当施設での訪問リハの状況をみると徐々にではありますが訪問件数増加がみられ、特に要支援者の利用が増加している傾向です.
対象者61名については、平均年齢77.8歳で女性が多く、中枢疾患と骨関節疾患を主疾患とするものが大半を占めていました.また介護度では要介護1と要介護3で全体の55%と過半数を占めており、また寝たきり度でもランクA・Bの占めている割合が75%でした.訪問リハ以外で何らかの居宅サービスを利用している者は全体の80.3%で通所介護・通所リハ・ヘルパー等のサービスを受けていました.
更に終了者だけをみると、終了理由として目標達成が52%と約半数を占め、次いで入院した等で医学的理由26%、金銭面での問題など社会的理由・死亡6%、その他に通所リハへの利用で終了になったなどがありました.また訪問リハ開始時と終了時で寝たきり度の変化をみると約2割の利用者に向上がみられ他は維持されていました.
【考察】当訪問リハでは、介護支援専門員と医師への定期的な報告書の提出と積極的な担当者会議等への参加を行ってきました.結果的に訪問リハの啓蒙活動となり訪問リハの役割が浸透していったことで徐々にではありますが件数の増加につながったと考えます.
終了要因については、(1)訪問リハの特徴として在宅(生活環境)でリハができる点から生活に結びついたリハプログラムの作成、実行が可能であることから本人や家族と介護支援専門員等が納得し共通した目標設定が明確にできる.(2)リハも受動的ではなく能動(自主)的なリハを指導することを心がけ、リハスタッフがいなくても在宅でも十分機能回復・維持が図れるよう考慮して施行している.(3)老人保健施設からリハスタッフが訪問している利点を活かし通所リハにつなげるなど他サービスとの連携が円滑である.など以上が訪問リハ終了要因と考えられます.
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© 2009 日本理学療法士協会
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