理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-215
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生活環境支援系理学療法
成果主義が当院に及ぼした影響は
有村 昌子小原 壮一平岡 明彦宮島 真治
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抄録
【目的】平成20年4月の診療報酬改定により、回復期リハビリテーション料1が新設され、施設基準に日常生活機能評価の導入と、重症患者回復病棟加算の施設基準が設けられ、いわゆる成果主義の導入となった.
当院においても平成20年4月より回復期リハビリテーション料1を取得し、半年以上が経過したため、今回当院における成果主義が当院に及ぼした影響について検討したのでここに報告する.


【方法】H19.9.1~H20.3.31までに当院回復期リハ病棟を退院された85名(男28名、女57名)を1群とH20.4.1以降入棟され、H20.10.31までに退院された41名(男12名、女29名)を2群とし、それぞれ入棟時の日常生活機能評価で10点以上と10点未満で、A.B.C.Dの4群に分け、日常生活機能評価の改善度と在棟日数、在宅復帰率、最終移動手段等について、比較検討を行った.

【結果】A群(1群で日常生活機能評価10点未満)とC群(2群で日常生活機能評価10点以上)、B群(1群で日常生活機能評価10点未満)とD群(2群で日常生活機能評価10点以上)では、日常生活機能評価の改善度に有意差は認められなかった.在棟日数の平均は、A群は63.2日、B群は109.3日、C群は62.9日、D群は82.4日で1群(A,B群)に比較して2群(C,D群)の方が在棟日数が短縮傾向にあった.在宅復帰率については、A群は87%、B群21%、C群93%、D群33%であった.

【考察】当院回復期リハ病棟においては、以前より当院一般病棟の患者層が、脳外科を中心に整形外科、外科が中心となっているため、重症患者の受け入れは積極的に行ってきていたが、4月より日常生活機能評価を意識しながら、病棟でのADL訓練の実施や、コメディカルの連携をはかることにより、可能な限り在宅で自立した生活が送れるように、病棟内での意識統一はもちろんの事、同系列の在宅支援部門との連携を図ることより、在宅復帰率の上昇と在棟日数の短縮に結びついたのではないかと考えられる.

【まとめ】今回平成20年4月以前と4月以降の回復期リハ病棟を退院した患者126名について、入棟時の日常生活機能評価をもとに4群に分類し、成果主義が与えた影響について検討した.4月以前より良好な結果が得られているが、今後も症例数を増やして検討を重ねていきたい.
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© 2009 日本理学療法士協会
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