理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-553
会議情報

教育・管理系理学療法
PT・OT養成校教員が学生に触診を教えるための教育モデルの開発
―第34回PT・OT養成施設教員講習会参加者に対するアンケート調査を踏まえて―
銭田 良博高島 恵竹下 典子竹林 由希代田中 努豊田 美紀
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キーワード: 触診, 教育, 教材
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抄録

【目的】
触診は、臨床において重要な評価技術であるが、触診技術という感覚を習得した後それを教える、ということは、様々な教育的配慮と教材研究が必要である.そこで今回、第34回PT・OT養成施設等教員講習会で、参加者に対する触診の教育に関するアンケートと、アンケート調査結果を踏まえ教員が学生に触診を教えるための教育モデルの開発を試みた.
【方法】
第34回PT・OT養成施設等教員講習会の参加者61名(PT30名、OT31名)に対し、参加者の卒前卒後における触診に関する教育歴と学生に対する触診の教育経験、参加者が所属する養成校の触診に関する講義の必要性と教育カリキュラムの有無、触診を教えている参加者に対し評価方法や触診を教える上での困ったこと、などについてアンケート調査を行った.その調査結果をもとに、PT・OT養成校の教員が、初めて具体的な触診の講義を受ける学生に対して「烏口突起の触診を教えることができるようになる」ことを教授目標とした教育モデルを作成した.
【結果】
アンケート結果では参加者全員が、学校の教育カリキュラムに触診の講義は必要である、と考えていることがわかった.参加者の卒前卒後における触診に関する教育歴と学生に対する触診の教育経験、所属する養成校の触診の教育カリキュラム内容については、現状においてばらつきがあることがわかった.触診を教える上での教員側の困った点は、教員自身の理解不足、マンパワー不足、感覚を伝える事の難しさ、などが挙げられた.触診を教える上での学生側の困った点は、土台となる基礎医学の知識不足、触診の重要性が理解されにくい、三次元的なイメージができにくい、男女間での実技が行いにくい、などが挙げられた.
【考察】
アンケートによる調査結果を検討した際、初めて触診の講義を学ぶ学生が「烏口突起の触診ができるようになる」ための教育モデルを作成するためには、まず最初に教員側の教授目標及び単元と本時の下位項目に関する目標分析を行うことが必要であると考えられた.次に、学習指導案及びマインドマップ、などの授業設計が必要であると考えられた.そして、目標分析と授業設計を行ってから、教材研究を行うことが重要であることが考えられた.具体的な教材として、触診の講義を行う前の認知領域に対する事前学習のチェック用スライド、情意領域に対する視覚的教材や模型の活用、大人数の前でデモンストレーションを行うためのVAKモデルを活用した動画、5~6人の小集団でのグループ学習にコーチングの要素を取り入れる、個別指導後に触診ができるようになったかどうかを確認するための触診チェックシート、テスト問題や実技テストを行う際の評価ツール、誰もが知っている歌の歌詞を烏口突起を触診する手順がわかるように変え、その歌を歌いながら被検者や自分自身の烏口突起を触診して学生の自己学習に取り入れる、などが考えられた.

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© 2009 日本理学療法士協会
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