理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-575
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教育・管理系理学療法
症例検討会における臨床経験年数の違いによる意識調査
田中 重孝久保 雅昭
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抄録
【目的】近年の養成校の増加にともない多くの施設で経験年数6年未満の理学療法士(以下PT)が増加してきている.臨床活動の質を高めるため学術活動も必要であり、その中で症例検討会は有用な手段の一つと思われる.
今回、神奈川県における症例検討会の開催状況を調査し、若手(経験年数1~5年目)と中堅以上(経験年数6年以上)の症例検討会に対する意識調査を行ったので報告する.
【方法】第25回神奈川県理学療法士学会に参加したPTを対象に症例検討会での開催頻度、目的、発表者の経験年数、発表者の選定、開催後の対応等においてアンケート形式で調査(意識調査)を施行し、各項目別に比較検討した.なお倫理規定として、アンケートには本学会での発表を行う旨を記載し同意を得たものを回収した.
【結果】意識調査の回収は52人、「1~5年目」は28人、「6年目以上」は24人であった.
「症例検討会の目的」として、1~5年目は「治療内容の検討」、「技術・知識の向上(手技の向上や考え方を学ぶ)」が共に35%以上と一番多い傾向があり、6年目以上は「技術・知識を共有する(コミュニケーション)」が30%以上と最多であった.
「症例検討会の発表者の経験年数」として、『行っている』としたのは1~5年目と6年目以上共に「若手(1~5年目)」が40%以上と一番多い.『行うべき』としたのは1~5年目では65%が「全員対象」で一番多く、6年目以上では90%以上が「全員対象」が最多であった.
【考察】意識調査の結果より、症例検討会の目的として若手(1~5年目)は「治療内容の検討」や「技術・知識の向上」を通して「考え方」や「学び方」について指導してもらうことを望んでいる傾向があると考えられる.中堅以上(6年目以上)では「技術・知識を共有する」ためのコミュニケーションツールの一つとして活用していると考えられる.
症例検討会での発表者は現状では若手(1~5年目)に多くみられるが、すべてのスタッフが対象になるべきとの意見が多く、特に中堅以上(6年目以上)に多かった.このことは、若手が先輩の報告を聞くことで多くの情報を得ることが期待でき、指導者は症例を通して技術・知識を伝えること(コミュニケーション)を求めていると考えられた.
【まとめ】第25回神奈川県理学療法士学会に参加したPTを対象に意識調査を施行した.症例検討会に対する目的として若手(1~5年目)は「治療内容の検討」、「技術・知識の向上」が一番多く、中堅(6年目以上)は「技術・知識を共有する」が一番多かった.症例検討会の発表者は若手、中堅ともに「すべてのスタッフを対象」とすべきとの意見が一番多かった.
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© 2009 日本理学療法士協会
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