理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
当院の脳血管障害患者に対する退院後のFIM運動項目変化に影響を及ぼす因子
─入院中の歩行獲得状況に着目して─
河方 けい, 新田 收, 岡崎 喜紀, 高野 明美, 新美 克則, 天野 智文, 鈴木 麻美子
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キーワード: 歩行, m-FIM, FIM
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p. Ba0296

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抄録
【はじめに、目的】 自宅退院後のFIM推移に関する報告は多様だが、5点(監視)が低下しやすく7点(自立)でも環境等に適応できず低下を認めうる。これは、獲得までの経緯と関係すると考える。また、生活に「移動」は必須で、歩行はトイレ動作や階段昇降等多くの場面に反映する。FIM総得点のうち歩行関連項目は全運動項目(以下、m-FIM)の72%を占め、歩行能力とm-FIMは高い相関がある。しかし、歩行とFIMに関する文献は少ない。また退院後のFIMの推移要因はBrs.,経過期間等様々あるが統合的に捉えた報告は少ない。そこで、今回は患者の属性及び入院中の歩行機能変化と退院後の在宅生活状況を調査し、退院後のm-FIM,特に歩行能力(FIMの移動)の変化に影響を及ぼす因子を解明する事を目的とした。【方法】 対象は、平成21年7月1日以降に当院入院し平成23年6月1日までに自宅退院され、退院時屋内歩行(FIM6点以上)であった脳血管障害患者であり、有効回答の得られた88名(男性61名,平均年齢64.8歳(42-93)、女性27名,平均年齢69.5歳(50-88))とした(有効回答率41.1%)。なお入院時歩行が5点以下の者を歩行獲得群、6点以上を歩行維持群とした。(獲得群:男性34名,女性13名,計47名,平均年齢65.7歳、維持群:男性27名,女性14名,計41名,平均年齢66.9歳)退院後FIMはFIM質問紙(Flow-FIM:藤田保健衛生大学七栗サナトリウム作成)を用い、当院作成アンケートと合わせ郵送調査した。調査項目は、一般情報(性別,年齢,診断名,障害側,合併症),退院時情報(下肢Brs,FIM,要介護度¸住宅改修の有無,退院時期),在宅情報(現在のFIM,運動状況,デイケア・デイサービス・訪問リハ・外来リハ・スポーツジム・接骨院等の利用の有無,自主トレ状況)を過去のカルテ,アンケート,FIM質問紙により収集した。統計には、退院後の歩行能力(維持向上群及び低下群)を従属変数とし、上記退院時情報,一般情報,在宅情報を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。変数選択は変数増加法とし、回帰分析に先立ち全変数間の関連性についてカイ2乗検定,対応のあるt検定,一元配置分散分析を用い分析した。(有意水準5%未満)【倫理的配慮、説明と同意】 文書にて、個人情報等について研究目的で用いる事の同意を得た。本研究は当院倫理員会の承認のもと行った。【結果】 各FIMにて退院後低下した項目は、歩行(移動),更衣(上半身)であり低下率は27%と最多であった。入院中歩行獲得群、維持群間で退院後の歩行能力及びm-FIMに有意差はなく、歩行能力とm-FIMにも相関はなかった。また、下肢Brs.5以下,女性,要介護2・3の者は退院後歩行低下する傾向があった。独立変数間の関連性では、要介護2はBrs.3,デイケア,訪問リハと高い相関があり、要介護3は女性でデイサービスに通い活動性の低い者に多かった。最後にロジスティック回帰分析の結果、年齢,性別,要介護2,デイサービスが予測変数として選択された。予測式はY=1.69(男1,女2)+0.07(年齢)+1.56(要介護2:yes1,no0)+2.68(デイサービス利用:yes1,no0)-9.57であった。なお従属変数の歩行能力は維持向上群:1,低下群:2とした。正解率は89.77であった。【考察】 歩行とm-FIMに相関がなかったのは、対象者の身体機能・動作レベルが先行文献に比べ高く歩行が低下しても移動手段として歩行困難とならず他項目へ反映しにくかったと予測される。また獲得群と維持群間に有意差がなかった事から、退院後の歩行能力は獲得までの経緯でなく現在の運動状況,性別,年齢に関連すると示唆された。また、退院後の歩行低下は下肢Brs.5以下,要介護2・3と相関があり機能レベルとの高い関連が推察できる。中でも、デイケア,訪問リハに比べデイサービスに通い活動性の低い女性は低下傾向がある。臨床的には、機能の低い者にデイサービスを単独導入する事は稀でデイケア等と併用し導入する。しかし、本研究では歩行低下因子との相関はデイサービスのみであり、機能の低い者は活動性が低い傾向にあった。よって、歩行低下は身体機能以外の何らかの影響が考えられた。またデイサービスには、認知症専門施設もあるため認知症との関連が推測できるが本研究では不明である。よって、歩行低下は機能レベル,年齢,性別の影響を受ける事が示唆されたが、他の低下因子もある事が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 退院後の低下原因を知る事で今後の臨床での治療や退院時指導への一助となりうる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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