理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
慢性期脳卒中患者に対する積極的な外来理学療法介入による家族介護者の介護負担感への影響
近藤 亮, 中村 重敏, 長島 正明, 鈴木 みずえ, 美津島 隆
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p. Ba0295

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抄録
【はじめに、目的】 近年,慢性期脳卒中患者に対する報告では,下肢筋力増強訓練,歩行訓練,トレッドミル歩行訓練,サーキットトレーニングなどの介入によって筋力や歩行能力は改善する.更に,積極的な下肢筋力増強訓練を実施しても筋の痙性は変わらない,あるいは低下させると言われている.また,在宅生活の慢性期脳卒中患者にとって在宅生活の継続には,家族介護者の介護は欠かせない.その為,円滑な在宅生活を送るためには,脳卒中患者の身体機能やQOLだけでなく,家族介護者の介護負担感にも着目する必要がある.しかし,慢性期脳卒中患者に対する外来理学療法介入による,家族介護者の介護負担感への影響を検討したものは少ない. 本研究の目的は,在宅生活の慢性期脳卒中患者に対する3ヵ月間の積極的な外来理学療法は,家族介護者の介護負担感の軽減に有効であるか明らかにすること.【方法】 対象は当院リハビリテーション科を受診した,脳卒中発症後6ヵ月以上が経過した在宅生活の脳卒中患者10名(男性9名,女性1名)とその家族介護者10名(女性8名,男性2名)とした.脳卒中患者の発症後期間は84.3±76.1ヵ月,平均年齢は66.9±13.4歳,Brunnstrom Stage下肢は3:4名,4:2名,5:2名,6:2名,麻痺側は右5名,左5名,短下肢装具の使用は6名,歩行補助具の使用は1本杖7名であった.包含基準は歩行が可能である者,除外基準は1.重度心疾患,2.認知症,3.高次脳機能障害,4.重度感覚障害を有する者とした.主家族介護者の平均年齢は65.0±6.3歳,介護者の続柄は妻8名,父1名,息子1名であった. 訓練内容は速歩を30m×8セット,ジャンプ,足踏み,麻痺側片脚スクワット,麻痺側片脚段差昇降を各20回×4セット実施した.訓練介入は1回約50分,週2回,3ヶ月間実施し,評価期間は運動介入時と1ヶ月後,2ヶ月後,3ヶ月後の計4回計測した.評価項目は,歩行能力はTimed Up & Go Test(TUG)(sec),6分間歩行距離(m),ADLはFIM(点)を測定した.家族介護者の介護負担感は,Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)の総得点,Personal strain尺度(PS,介護者の介護そのものから生じる負担感),Role strain尺度(RS,介護者の今までの生活が出来なくなったことによる負担感)を用いて測定した. 統計学的検討は,SPSS 17.0 J for Windowsを用いて,全評価項目の運動介入時と1ヶ月後,2ヶ月後,3ヶ月後の前後比較にWilcoxon の符号付き順位検定を施行した.有意水準は危険率5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 浜松医科大学医の倫理委員会の承認を得て,対象者及び家族に対し本研究の趣旨及び目的を説明し文書にて同意を得た.【結果】 介入時と比較して3ヶ月後に有意な改善を認めたのは,TUG(17.6±6.1から13.3±5.3sec),6分間歩行距離(235.8±104.7から345.7±145.9m),FIM(116.0±8.3から118.8±6.1点)であった.家族介護者の介護負担感はJ-ZBIの総得点(24.5±15.9から13.7±9.7点),RS(7.6±7.3から4.0±3.5点)に改善を認めた.また,PS(13.0±6.8から7.2±6.0点)に改善は認めなかった.【考察】 慢性期脳卒中患者に対して,3ヶ月間の積極的な外来理学療法を実施し,歩行能力,ADLは改善した.また,家族介護者のJ-ZBIのPSは改善しなかったが,総得点やRSは改善した.Emilyは家族介護者の不安,家族支援不足,家族介護者への依存が介護負担感を高めると報告している.本研究では,J-ZBIのPSに変化を認めなかったのは,対象者のADLは監視から自立と高いレベルであり,家族介護者はもともと介護そのものから生じる負担感を感じていなかった為と考える.一方,J-ZBIの総得点やRSが改善したのは,対象者の歩行能力が改善したことにより,家族介護者は対象者への日常生活での監視を軽減することができ,家庭内の仕事や社会参加など自己の時間が増えた為と考える.【理学療法学研究としての意義】 慢性期脳卒中患者に対する3ヶ月間の積極的な外来理学療法は,在宅生活を継続する上で欠かせない,家族介護者の介護負担感の軽減に貢献できる.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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