抄録
【はじめに、目的】 当院では,極・超低出生体重児に対して発達フォローアップとして,退院後に新版K式発達検査を実施している.今回, 極低出生体重児の早期の発達指数がその後の発達指数と関係があるのか検討する目的で,修正6ヶ月・12ヶ月の発達指数(DQ)と修正18ヶ月時の新版K式発達検査のDQの相関を検討したので報告する.【方法】 当院新生児センターに入院し,入院中に発達フォローアップの依頼のあった超・極低出生体重児(出生体重1500g未満)のうち,調査が可能であった131名を対象とした(男児56例,女児75例,平均在胎週数29.7±3.2週,平均出生体重1110.8±286.1g).修正6ヶ月前後(平均月数5.9±1.0ヶ月)・12ヶ月前後(平均月数12.1±1.3ヶ月)・18ヶ月前後(平均月数17.8±2.3ヶ月)に新版K式発達検査を実施し,姿勢運動(PM)領域,認知適応(CA)領域,言語社会(LS)領域および全領域の発達指数(DQ)を算出し,それぞれについて正常発達(DQ:85以上)の割合を算出した.さらにそれぞれの領域について,DQが85未満の値を示した児(PM領域 n=60,CA領域 n=27,LS領域 n=54,全領域 n=32)を対象に,修正6ヶ月・12ヶ月のDQと18ヶ月のDQについてスピアマンの順位相関係数を用いて検討した.なお,統計学的検討は,危険率5%以下を統計学的有意とした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象児の保護者には,フォローアップについての説明および情報の取り扱いについて,紙面および口頭にて説明し同意を得て実施した.【結果】 修正6ヶ月時のP-M領域のDQは平均95.5±15.9で正常発達が75.6%,C-A領域のDQは,平均104.0±12.8で正常発達が90.8%,L-S領域のDQは平均103.3±16.9で正常発達が84.7%,全領域のDQは平均101.3±12.8で正常発達が87.8%であった. 修正12ヶ月時のP-M領域のDQは平均92.0±17.1で正常発達が66.4%,C-A領域のDQは,平均96.5±11.1で正常発達が89.3%,L-S領域のDQは,平均98.2±16.5で正常発達が77.9%,全領域のDQは平均95.6±11.0で正常発達が85.5%であった. 修正18ヶ月時のP-M領域のDQは平均95.1±16.2で正常発達が77.9%,C-A領域のDQは,平均98.2±11.8で正常発達が89.3%,L-S領域のDQは平均96.6±14.7で正常発達が77.9%,全領域のDQは平均97.1±11.0で正常発達が86.3%であった. また,DQが85未満の値を示した児のそれぞれの評価時期のDQの相関については,PM領域,CA領域,全領域では,修正6ヶ月と18カ月で,有意な相関を認めなかったが,12ヶ月と18カ月では有意な相関を認めた(PM領域:ρ=0.50,p<0.01 CA領域:ρ=0.44,p<0.05 全領域:ρ=0.69,p<0.01).しかし,LS領域では,修正6ヶ月・12ヶ月とも18ヶ月のDQとは有意な相関を認めなかった.【考察】 今回の結果より,極低出生体重児の発達指数は,修正6ヶ月,12ヶ月,18ヶ月とも平均値では,正常発達範囲内であるが,その割合をみるとPM領域では75.6%,66.4%,77.9%,全領域では,87.8%,85.5%,86.3%と12ヶ月でやや低下し18カ月ではキャッチアップするという傾向があった.しかしCA領域では,90.8%,89.3%,89.3%,LS領域では,84.7%,77.9%,77.9%と6カ月から12カ月では正常発達割合が上昇するが,18カ月ではあまり変化がなかった.また,PM領域・CA領域および全領域では,修正6ヶ月のDQは,18ヶ月のDQと相関を認めず,12ヶ月と18ヶ月に有意な相関を認め,LS領域では,6カ月とも12カ月とも有意な相関は認めなかった.これらの事より,18ヶ月までの運動や認知面の発達には,児の特性だけではなく周囲の環境からの影響などで発達は変化することを示しており,6ヶ月のDQは,18ヶ月のDQとはあまり相関がなく予後を判定するうえでは重要性は低く,個々の経過を見ていく必要があると考えられる.【理学療法学研究としての意義】 極低出生体重児の発達指数の検討は,近年散見されるがその経過について,検討している研究は少ない.今回の結果より早期の発達指数は,その後の発達予後を判定するうえでは重要性が低く,フォローアップ体制を考える上でも有用であると考える.