理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
爪先立ち荷重と足底全接地荷重における内側広筋活動
─ACL再建術後3週時と8週時の比較─
高松 敬三
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p. Cb0477

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抄録

【はじめに、目的】 ACL再建術後においてOKCおよびCKCによる膝伸展筋群の筋力増強運動を実施しても、固有感覚受容器の機能低下や内側広筋(以下,VM)の反応速度低下などによりVMの筋力回復は遅れることがある。本研究の目的は、膝前十字靭帯再建術後におけるVMの筋力回復において有用な運動を把握するため、足部荷重位置の違いが内側広筋の筋活動量にどのような影響を及ぼすか比較検討することである。【方法】 対象は半腱様筋腱を用い膝前十字靭帯再建術を施行した10名(平均年齢26.7歳)。術後3週時および8週時に同一被験者において『爪先立ち荷重』と『足底全接地荷重』の二条件下での内側広筋活動量を比較した.10名の身長および体重に関して差は認められなかった。測定には表面筋電計(日本メデイックス社製バイオモニターME6000)を用いて、術側のVMおよびハムストリングスの表面筋電図を記録した。測定課題は床上での術側片脚立位とし、7秒間の最大随意収縮を各々3回ずつ行い、積分値が最も大きいデータを採用した。体幹や膝関節角度の影響を除外するため、片脚立位は術側膝屈曲60°で両上肢を胸の前で組んだ姿勢とした。解析処理においては7秒間の前後2秒間を除いた3秒間の筋放電量を積分して筋活動量を求め、統計学的処理は二条件下でのVM活動量の差を比較するためt検定を用い、有意水準は5%とした。なお、order effectを考慮して二条件の運動は被験者毎に順序を入れ替えて実施した。【倫理的配慮、説明と同意】 各被験者には計測を行う前に、本研究の趣旨を文章ならびに口頭で十分説明したうえで研究参加の同意を得た。【結果】 VMの筋活動量に関して、術後3週時においては爪先立ち荷重と比して足底全接地荷重が有意に小さかった(p<0.05)。術後8週時においては術後3週時より高値を示したが、有意な差は認められなかった。また、ハムストリングスの筋活動量に有意な差は認められなかった。【考察】 術後3週時において足底全接地荷重はVMの筋活動量が有意に小さかったのは、爪先立ち荷重と比して前足部への荷重が減少し、足趾部に集中する固有感覚受容器に対する刺激が小さくなることでVMの筋出力に影響を及ぼしたと推測する。CKCを行う際、踵部が着床しない爪先立ち荷重のほうが術後早期においては有用な運動かもしれない。しかし、術後8週時においてVMの筋活動量は有意な差が認められなかったことから、時間が経過すると足部荷重位置の違いは内側広筋の筋活動に影響しない可能性が示唆された。ACL再建術後の早期においては、前足部に刺激を加えるような運動を取り入れておくこともVMの筋力回復につながるのではないかと考える。【理学療法学研究としての意義】 ACL再建術後の内側広筋に対する筋力増強運動の方法を考慮する際の一旦になると考える。

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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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