理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
靴下着脱動作時の体幹柔軟性に関する評価方法の検討
中島 卓三, 木下 一雄, 伊東 知佳, 吉田 啓晃, 金子 友里, 樋口 謙次, 中山 恭秀, 安保 雅博
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p. Cb0737

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抄録
【目的】 我々は人工股関節全置換術(以下THA)後の靴下着脱動作に関与する機能的因子について検討している。靴下着脱動作は上肢・体幹・下肢の全身の複合的な関節運動であり、先行研究では靴下着脱動作における体幹の柔軟性の影響を明らかにすることが課題であった。THA患者の靴下着脱には脱臼防止のために股関節を屈曲・外転・外旋で行う長座位開排法(以下 長座位法)と端座位開排法(以下 端座位法)があるが、両法における脊柱の分節的可動性の違いを明らかにした報告はない。本研究の目的は、THA患者での検討の予備研究として、健常成人を対象に、靴下着脱肢位の違いによる脊柱の分節的可動を明らかにするとともに、靴下着脱時の脊柱分節性をより反映しうる評価方法を検討することである。【方法】 対象は健常男性20名(平均年齢31.6±6.3歳,身長172.4±4.6cm,体重65.8±7.0kg)、靴下着脱方法は長座位法・端座位法の2肢位で行った。体幹柔軟性の評価は一般的に使用されている長座位体前屈(以下 LD)と、今回新たな評価方法として下肢後面筋の影響を排除した端座位で膝・股関節屈曲90度、腕組みの状態から骨盤を後傾し体幹を屈曲させ肩峰と大転子を近づけるよう口頭指示して行う方法(SF)で評価した。測定にはスパイナルマウス(Index社製)を使用し、長座位法・端座位法・LD・SFの4肢位について、Th1~Th12までの上下椎体間が成す角度の総和を胸椎彎曲角、L1~L5までの上下椎体間が成す角度の総和を腰椎彎曲角、仙骨と鉛直線が成す角度を仙骨傾斜角として計測した。脊柱後彎(屈曲)および仙骨前傾は正、脊柱前彎(伸展)および仙骨後傾は負で表記した。長座位法・LDは安静長座位との差を、端座位法・SFは安静端座位との差を算出した。統計処理にはSPSS(ver19)を使用し、長座位法と端座位法およびLDとSFの相違を確認するためにWilcoxonの符号付き順位和検定を用い、靴下着脱動作それぞれとLD・SFとの関連にはSpearmanの順位相関係数を求め検討した。【説明と同意】 本研究は、当大学倫理委員会の承認を得て、ヘルシンキ宣言に則り施行した。【結果】 各測定値の平均は胸椎彎曲角(長座位法:端座位法:LD:SF=37.65±23.54度:44.45±8.89度:47.10±31.40度:64.55±18.03度)、腰椎彎曲角(41.00±9.44度:32.25±7.77度:44.80±13.71度:36.75±6.74度)、仙骨傾斜角(-18.30±5.00度:-16.75±9.04度:-5.45±10.84度:-19.20±7.33度)であった。長座位法と端座位法の違いでは腰椎彎曲角・仙骨傾斜角で有意差が認められ(p<0.01)、LD とSFの違いでは全ての項目で有意差が認められた(胸椎彎曲角・仙骨傾斜角:p<0.01、腰椎彎曲角:p<0.05)。また長座位法とLD・SFの関係では、LDの仙骨傾斜角(rs=0.77、p<0.01)で相関を認められた。端座位法とLD・SFの関連性では、SFの腰椎彎曲角(rs=0.72、p<0.01)・仙骨傾斜角(rs=0.52、p<0.05)で相関を認めた。【考察】 着脱肢位の違いによる脊柱の分節性では腰椎彎曲角・仙骨傾斜角が異なっており、下部体幹の分節性に違いがみられた。宮崎ら(2010)は、LDはSLRを代表とするハムストリングスや股関節の柔軟性を反映し、脊柱の柔軟性まで反映し難いと報告している。今回の結果からも長座位法は下肢の柔軟性の影響により、腰椎の後彎・仙骨の後傾の可動性が必要であると考えた。しかし、THA患者の場合では腰椎前彎、股関節屈曲制限を呈することが多いため、胸椎の後彎やその他の部位での代償が必要であると考えられた。一方、体幹柔軟性の評価方法の比較ではLDとSFは胸椎・腰椎・骨盤すべてにおいて異なった分節性であることが確認された。また、長座位法とLDの仙骨傾斜角で相関を認め、端座位法とSFの腰椎彎曲角・仙骨傾斜角で相関を認めた。LDは下肢の柔軟性の影響により仙骨の分節性を反映する評価方法であると考えられた。一方、SFに関しては端座位での腰椎・仙骨の分節性を反映し得る体幹柔軟性の評価方法であると考えられた。しかし、いずれの結果も健常人での比較であるため、股関節やその他の部位による多様の運動方略を持ち合わせていると考えられる。今後は股関節や腰椎の可動制限を認めるTHA患者を対象として測定を行い、着脱肢位の違いによる体幹分節性の違いを明らかにし、体幹の柔軟性を反映しうる簡便な評価方法を検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】 体幹柔軟性評価としてLDとSFは脊柱分節性に違いがあった。靴下着脱肢位の違いによって、その評価方法は使い分ける必要があると考えられた。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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