2019 年 56 巻 2 号 p. 202-206
脊柱管内に腫瘍性病変を認めた小児の非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma; NHL)はまれであり,仙骨部脊柱管内浸潤例の報告はない.仙骨部脊柱管内に腫瘤性病変を認めた鎖骨原発のNHL症例を経験したので報告する.症例は8歳男児.右肩から前胸部にかけての腫瘤を自覚し,当院に入院した.FDG PET-CT検査では,右肩の腫瘤および仙骨部脊柱管内に異常集積があり,仙骨部MRI検査では,同部位に造影効果を伴う腫瘤を認めた.右肩腫瘤生検の結果,仙骨部脊柱管内浸潤を伴う鎖骨原発のB前駆細胞性リンパ芽球型リンパ腫と診断した.JPLSG ALB-NHL03に準じて治療を行った.骨原発のリンパ腫はまれであり,また仙骨部脊柱管内に腫瘤を認めた小児リンパ腫の報告はなく,治療終了後8か月経過したが,再発は認めず経過良好である.