理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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片脚立位時の股関節回旋が下肢筋活動に与える影響
鈴木 章裕城 真介塚田 陽一南本 浩之
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キーワード: 片脚立位, 筋電図, 股関節
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p. Cb1364

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抄録
【はじめに、目的】 膝前十字靭帯(以下;ACL)損傷の受傷機転の一つとして、力学的ストレスによる片脚立位時のknee-inの強制が挙げられている。knee-inは膝関節外反を伴うので、片脚立位時に膝内外反中間位(以下;膝中間位)を保持していることが、ACL損傷発生の軽減につながると考えられる。また、knee-inは、大腿骨の内転内旋を伴うことは明らかであるため、膝中間位を保つには股関節の肢位が影響を与えることが考えられる。本研究では、片脚立位において膝中間位を保持した状態で、股関節を回旋位にしたときの下肢筋活動を調べ、ACL損傷の発生予防の基礎資料を得ることを目的とした。【方法】 被験者は健常成人男性13名(平均24.7歳)、健常脚13脚(右7脚、左6脚)とした。対象筋は、大殿筋(以下;GM)、中殿筋(以下;Gm)、大腿筋膜張筋(以下;TFL)、内側広筋(以下;VM)、外側広筋(以下;VL)、半腱様筋(以下;ST)、大腿二頭筋(以下;BF)とした。筋電計は、MEB2200ニューロパック(日本光電社製)を用い、表面電極は中心間距離を3cmとして筋繊維に平行になるよう貼付した。筋電図は、片脚立位が安定した3秒間を測定し、得られた波形は最大等尺性収縮の値を100%として正規化(以下;%MVC)し、被験者の平均値をデータとして用いた。膝中間位は、膝蓋骨と第2趾を結んだ線が矢状面上に一致する肢位とした。片脚立位は、膝関節屈曲30°位で下腿傾斜と体幹前傾角度が平行となる肢位を基本姿勢とし、膝中間位を保ったまま、1)股関節内外旋中間位(以下;股中間位)、2)体幹の回旋に伴う股関節外旋位(以下;股外旋位)、3)体幹の回旋に伴う股関節内旋位(以下;股内旋位)の3条件で測定した。統計学的検定は、一元配置分散分析および多重比較(Mauchlyの球面性検定)を行い、有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 実験に先立ち、被験者にはヘルシンキ宣言に則り、実験の方法、安全性を充分に説明し、理解してもらった上で書面にて同意を得た。【結果】 片脚立位時における股関節肢位の違いにおいて、GMとVMの%MVCにおいて有意な差が認められた。GMの%MVCは、股中間位11±6%、股外旋位17±9%、股内旋位7±6%となり、股外旋位と股内旋位の間において有意差が認められた(p<0.05)。VMの%MVCは、股中間位20±10%、股外旋位28±15%、股内旋位25±12%となり、股中間位と股外旋位の間において有意差が認められた(p<0.05)。また、VLの%MVCは、股中間位20±11%、股外旋位27±16%、股内旋位26±17%となったが、統計学的有意差は得られなかった。Gm、TFL、ST、BFの%MVCは被験者間のばらつきが大きく、統計学的有意差は得られなかった。【考察】 GMにおいては、股内旋位、股中間位、股外旋位の順に%MVCが大きくなり、また股外旋位と股内旋位の間に統計学的有意差が認められたことから、股関節外旋角度の増大によって、筋活動量が増大したと考えられる。これは、膝中間位における股関節外旋位での片脚立位保持において、GMが影響を与えると考えられる。VMにおいては、股中間位、股内旋位、股外旋位の順に%MVCが大きくなり、また股中間位と股外旋位の間に統計学的有意差が認められたことから、股関節内外旋時に膝中間位を保持するにはVMの筋活動が影響すると考えられる。また、VLについては統計学的有意差は得られなかったが、VMと同様に股中間位、股内旋位、股外旋位の順に%MVCが増大する傾向がみられた。以上のことから、股外旋位の片脚立位において膝中間位を保持するには、GM、VM、VLの筋活動が関与することが考えられる。本研究における股外旋位は、体幹の回旋に伴うものであるため、膝中間位を保持するには大腿骨外旋が必要であると考えられる。これは、knee-in時の大腿骨内旋に相反する動きであるため、GM、VM、VLの筋活動は、ACL損傷の発生を予防するうえで考慮される必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 膝中間位での股外旋位の片脚立位において、GM、VMの筋活動が有意に増大することが示唆された。VLにおいては、VMと同様の傾向がみられた。ACL損傷の発生予防において、GM、VM、VLの筋活動を考慮することは有用であることが示唆された。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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