理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
男性COPD患者に対する全身持久力評価としての30秒間椅子立ち上がりテストの可能性
白仁田 秀一堀江 淳直塚 博行阿波 邦彦今泉 裕次郎市丸 勝昭江越 正次朗今泉 潤紀渡辺 尚田中 將英林 真一郎
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p. Da0305

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抄録
【はじめに、目的】 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、全身持久力評価であるフィ-ルド歩行テストは全身持久力トレ-ニングを行う上で重要である。しかし、環境が不十分な施設、在宅訪問患者、転倒リスクが高い患者、病期進行患者は、全身持久力評価を行わずに全身持久力トレ-ニングをしている事がある。我々のこれまでのパイロットスタディーでは、CS-30、6分間歩行距離テスト(6MWT)とIncremental Shuttle Waking Test(ISWT)の予測VO2Peakの有意な関係性が得られている。しかし、これらの研究は、性差の分別は行っておらず、また、病期進行も混合した報告であった。今回、男性COPD患者に限定し、また、GOLD病期分類で1期2期と3期4期に分け、CS-30と6MWT予測VO2Peak、ISWT予測VO2Peakの関係を検証する事とした。【方法】 対象は、病状安定期にある男性COPD患者110名、平均年齢74.2歳、BMI:20.6kg/m2)である。呼吸機能検査は%FVC76.1%、%FEV1.0 50.6%、FEV1.0% 50.3%でGOLD病期分類の内訳はstage1:14名、stage2:35名、stage3:37名、stage4:24名である。主要測定項目は、CS-30、6MWT予測VO2Peak、ISWT予測VO2Peakとし、副次測定項目は、mMRC息切れ分類、最大呼気口腔内圧(MEP)、最大吸気口腔内圧(MIP)、握力、膝伸展筋力、NRADL、SGRQとした。統計解析方法は、CS-30とその他の指標をPearsonの相関係数で分析した。さらにCS-30からVO2Peakを予測するために、単回帰分析にて回帰式を求めた。また、CS-30影響因子の検索はステップワイズ法による重回帰分析を行った。帰無仮説の棄却域は有意水準5%とし、統計解析ソフトはSPSS ver17.0を使用した。【説明と同意】 対象に研究の趣旨、方法、公表方法、同意の撤回などについて文書を用いて口頭にて説明した上で同意を得た。なお、本研究は、佐賀大学研究倫理審査委員会にて研究の倫理性に関する審査、承認を得て実施した。【結果】 CS-30と各指標の相関は6MWT予測VO2Peak(r=0.78, p<0.001) 、ISWT予測VO2Peak(r=0.78, p<0.001)、mMRS息切れ分類(r=-0.54, p<0.001)、MEP(r=0.48, p<0.001)、MIP(r=0.46, p<0.001)、握力(r=0.49, p<0.001)、膝伸展筋力(r=0.53, p<0.001)、NRADL (r=0.59, p<0.001) 、SGRQ(r=-0.47, p<0.001)であった。さらに、従属変数を6MWTとISWT予測VO2Peak、独立変数をCS-30とする単回帰分析で、6MWT予測VO2Peak =0.39×CS-30+4.04 (R2=0.57, p<0.001)、ISWT予測VO2Peak =0.65×CS-30+1.86(R2=0.60, p<0.001)の高い決定数を持つ回帰式が得られた。また、1期2期の単回帰分析は、6MWT予測VO2Peak =0.33×CS-30+5.72 (R2=0.52, p<0.001)、ISWT予測VO2Peak =0.71×CS-30+1.90(R2=0.63, p<0.001)3期4期の単回帰分析は、6MWT予測VO2Peak =0.40×CS-30+3.43 (R2=0.60, p<0.001)、ISWT予測VO2Peak =0.56×CS-30+2.43(R2=0.56, p<0.001)とどちらの病期群のCS-30と6MWT、ISWTの予測VO2Peakにおいても有意な回帰式が得られた。従属変数をCS-30、独立変数を6MWT予測VO2Peak、ISWT予測VO2Peak、mMRC息切れ分類、MEP、MIP、握力、膝伸展筋力、NRADL、SGRQとした重回帰分析において、CS-30=0.755+0.362×ISWT予測VO2Peak+0.821×6MWT予測VO2Peak+0.08×膝伸展筋力の多重共線性に問題ない精度の高い重回帰式が得られた(R2=0.60, p<0.001) 。【考察】 CS-30と6MWTとISWTの予測VO2Peakは病期進行に関わらず有意な回帰式が得られた。また、CS-30の影響因子を検索する重回帰分析においても6MWTとISWTの予測VO2Peak、膝伸展筋力があげられた。COPD患者において、下肢骨格筋機能と全身持久力の関係を報告した研究は多く、筋力低下と全身持久力低下は強い相互関係にあることが推測される。これらのことから、CS-30は全身持久力評価としての可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、CS-30と全身持久力評価である6MWT予測VO2Peak、ISWT予測VO2Peakの関係を客観的に検証した研究である。CS-30が臨床可能となれば、環境が不十分な施設、在宅訪問患者、転倒リスクが高い患者、病期進行患者など、今まで除外された患者に全身持久力評価が可能となることが期待される。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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