理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
COPD患者に対する全身持久力予測手段としての30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)の有用性についての検討
直塚 博行白仁田 秀一堀江 淳田中 将英林 真一郎
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p. Da0306

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抄録
【はじめに、目的】 慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者に対する全身持久力評価は、心肺運動負荷テスト(以下CPX)やフィールド歩行テストである漸増シャトルウォーキングテスト(以下ISWT)、6分間歩行テスト(以下6MWT)を用いられることが多いが、これらの評価法は高価な機器が必要であることや、検査するための広いスペースが必要であること、負荷が強い評価法はリスクの観点からも通所施設や在宅分野では使用しにくいなどの問題があると思われる。高川らは、CS30とISWTから予測した最高酸素摂取量(PeakVO2)との間に有意な相関が得られたと報告している。今回、我々は最も客観的な全身持久力評価法であるCPX時のPeakVO2とCS30の関連、また、CS30のCPXに対する負荷の程度を検証することを研究目的とした。【方法】 安定期にあるCOPD患者男性19名(平均年齢:72.9±6.9歳、%1秒量:47.2±17.9%、1秒率:42.3±19.2%)に対し、CS30と自転車エルゴメーターを用いたCPXを実施した。そのうち、13名は呼気ガス分析装置を着用してCS30を実施した。除外対象者は、呼吸器疾患以外の重篤な内科疾患、有痛性の骨関節疾患、歩行を障害するような肢体機能障害を有する者、研究の主旨が理解できない者とした。測定項目はCS30回数とCPX、CS30実施時のVO2、VCO2、VE、dyspnea index、O2pulse、HR、SpO2、修正Borgスケール(呼吸困難感、下肢疲労感)とし以下について分析を行った。1)CS30とCPX PeakVO2の関連をピアソンの相関係数と回帰分析を用いて分析した。2)CS30とCPXの各測定項目について、HR、VO2、VCO2 、VE、O2pulse、SpO2は(負荷終了時-安静時)/安静時×100による変化率(△)、修正Borgスケールは(負荷終了時-安静時)による変化量を算出し、dyspnea indexは負荷終了時を対応のあるt検定を用いて解析を行った。この時のCS30終了時測定値は、負荷終了後2分間での最高値、SpO2については最低値を用いた。3)各患者においてCS30 VO2/CPX PeakVO2を算出し、その平均からCS30がCPXに対してどの程度の負荷割合になるのかを求めた。【倫理的配慮、説明と同意】 対象に研究の趣旨、方法、公表方法、同委の撤回などについて文書を用いて口頭にて説明した上で同意を得た。なお、本研究は佐賀大学研究倫理審査委員会にて研究の倫理性に関する審査、承認を得て実施した。【結果】 CS30とCPX PeakVO2の間には有意な相関を認め、従属変数をPeakVO2、独立変数をCS30とする単回帰分析ではCPX PeakVO2=0.59×CS30+5.9(R2=0.36、p<0.01)の有意な回帰式が得られた。CPXに対するCS30のパラメータの比較ではΔHR(p<0.01)、ΔVO2 (p<0.01)、VCO2(p<0.01)、ΔVE(p<0.01)、ΔO2pulse(p<0.01),ΔSpO2 (p<0.05),dyspnea index(p<0.01)、修正Borgスケール(呼吸困難感p<0.01、下肢疲労感p<0.01)がCPXよりも有意に低値であった。また、CS30 VO2/CPX PeakVO2は0.80±1.45であった。【考察】 CS30はCPX PeakVO2との間に有意な相関があったことから、高川らの報告を支持する結果となり、CS30は全身持久力を予測する手段になりうることが示唆された。また、CS30は症候限界まで運動を行うCPXに対して、運動様式や負荷方法は異なるが30秒間で終了するテストであり、運動強度が8割程度に抑えられることや、循環器系、呼吸器系のパラメータの上昇、または呼吸困難感増加の割合を抑えられることにより、CPXに対して負荷の少ない評価法であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 CS30がCOPD患者の全身持久力予測手段として活用できれば、通所リハビリテーション施設や在宅分野でも簡便に全身持久力の予測やそれを基にした運動強度の設定が可能になる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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