理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
当院における小児呼吸器疾患の特徴と呼吸理学療法の効果検証
古田 哲朗鈴木 大真
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p. Da0315

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抄録
【はじめに、目的】 当院小児科では、呼吸器疾患で入院する子どもが年間400人を越えている。その中で、理学療法士による呼吸理学療法(以下RPT)が実施される件数も年々増え、現在では年間100件を越えている。今後もより効果的に介入をしていく為に、今回は、当院小児科に呼吸器疾患で入院する児の傾向と特徴をまとめるとともに、RPTの効果が、疾患や年齢などと関連性があるのかを検証した。【方法】 対象は2008年~2010年の3年間に呼吸器疾患で小児科に入院した1235名(対象1)と、その間RPTが実施された225名(対象2)。方法1)対象1の疾患ごとの割合を調べた。また、それぞれ疾患ごとの平均年齢や平均在院日数、性別差、平均入院回数、リハ介入割合などの傾向をまとめた。方法2)対象2におけるRPTの効果が、「疾患別、性別、年齢、担当の理学療法士(以下PT)のRPT経験数(3年間に小児呼吸理学療法を担当した数)」と関係性があるかを、カイ二乗検定を用いて検証した。RPTの効果判定は、まず、カルテ記載から介入した日ごとの効果を「効果あり・変化なし・悪化」の3つにふりわけた。効果についてはSpO2の変化、脈拍の10%以上の変化、呼吸数の10%以上の変化、PTの主観的評価、以上4つのいずれかの変化から判断した。ついで、介入全体を通して「効果あり・変化なし・悪化」の割合が最も多いものをその症例の最終的な効果判定(効果あり、変化なし、悪化、の3分類)とした。【倫理的配慮、説明と同意】 データは過去のカルテから収集した。その際に個人名で処理をせず、シリアル番号をつけて個人が特定できないようにデータ処理を行った。【結果】 方法1の結果では、対象1の疾患毎の割合は、肺炎60.1%、喘息32.8%、細気管支炎7.1%で、肺炎がもっとも多かった。平均年齢は細気管支炎が0.47才と著明に低く、喘息が5.08才と最も高い結果となった。平均入院回数は喘息が3.32回と最も多かった。方法2の結果で有意に差が認められたものは、年齢と担当のPTの経験数であった。年齢では乳児(1才未満)、幼児(1才~5才)、学童児(6才~12才)に分類したときに、学童児では「効果あり」が67.6%と高いのに対し、乳児では「効果あり」が38.9%と明らかに低かった(p<0.05)。また、PTのRPT経験数との関係では、経験数を20件未満群、20件~75件群、75件以上群、の3群に分類したとき、75件以上群では「効果あり」が59.2%と高いのに対し、20件未満群では「効果あり」が33.3%と低い結果となった(p<0.03)疾患や性別での差はほとんどみとめられなかった。【考察】 RPTの効果については、年齢が高いほど効果があること、PTのRPT経験数が多いほど効果があることが示唆された。年齢については、学童児ではRPTに対する拒否も少なく、声かけで咳が出せたり、腹式呼吸や深呼吸などが誘導しやすいのに対し、乳児では泣いたり、呼吸が速かったり、嫌がったりなど、徒手的介入が困難なことが多いことや、咳が十分に出せないことなどで、年齢による効果の差が出たと考える。また、PTのRPT経験数については、経験の多いPT群は、RPTの外部勉強会に参加したり、成人のRPT経験も多いのに対し、経験の少ないPT群は、RPT勉強会への参加が少なく、成人のRPT経験も少ないことがわかった。これは、個人の力量によっても効果に差がでるものということが示唆され、RPTを効果的に実施するためにも、知識、技術の研鑽とともに、RPT経験値も重要であることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】 RPTの効果に関しての研究は非常に少なく、エビデンスもほとんどだされていない。しかし、臨床の場面ではRPTを実施する場面は非常に多い。経験として感じることは、RPTは万能なものではなく、効果を感じる場面がある一方で、むしろ必要がないと感じる場面もある。医師からの処方がでて、やみくもに介入するのではなく、何を目的にRPTを実施するのかを評価、判断し、より効果的に介入していきたいと考え、今回、RPTの効果について検証した。今回は後ろ向き研究なため、対象項目が少なく、データも不十分な面があった。今後も、どのような症例に効果があり、どのような症例には効果が少ないかを検証していくことが重要だと考える。無気肺の有無や、CRP、入院からのRPT開始までの日数など、より細かい項目との関連性を前向き研究として検証していきたいと考える。また、介入方法、内容にも個人差があり、どのようなRPTが効果があるのかという面にも着目して検証していきたいと考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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