理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
心臓弁膜症および虚血性心疾患の術前因子に関する調査
槻本 康人, 田中 大, 曽田 祥正, 松本 恵以子, 柴田 奈緒美, 松尾 洋史, 並河 孝, 藤原 克次, 岡野 高久, 木股 正樹, 夜久 均
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p. Da1000

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抄録
【はじめに、目的】 開心術後リハビリテーションは、二次的な廃用症候群や術後肺炎などの合併症予防に有用のみならず、早期離床を可能とし早期退院に有用である。当院でも二次的合併症の予防や術後運動耐容能を改善する目的で、クリティカルパスに沿って理学療法士が術後早期から介入を行っている。術後リハビリテーションでは、日本循環器病学会の開心術後クリティカルパスを用いている施設も多い。開心術の対象疾患である心臓弁膜症と虚血性心疾患は、術前の病態や重症度は異なる。しかし、同一の開心術後クリティカルパスで術後リハビリテーションを行った結果、体力の低下に不安を抱えて退院する患者も散見される。今回開心術後リハビリテーションに関連する術前の因子について、心臓弁膜症と虚血性心疾患の間で検討した。【方法】 対象は、平成21年4月から平成23年10月までの間に当院で待機的に開心術を行った76例のうち、急性心筋梗塞および複合手術を除く心臓弁膜症患者(20例)および虚血性心疾患患者(25例)である。入院時の性別、年齢、身長、体重、BMIおよび移動能力を調査した。移動能力の指標として、アメリカ胸部学会のガイドラインに従って術前6分間歩行テストを行った。また予備調査として、性別、年齢、身長および体重をもとに6分間歩行距離の予測値を算出した。統計処理はWilcoxon順位和検定を行い、5パーセント未満を有意水準とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、対象者へ研究の趣旨と内容、調査結果の取り扱いについて説明し、同意を得た上で調査を実施した。【結果】 性別は心臓弁膜症が男性10名、女性10名、虚血性心疾患は男性17名、女性8名であった。年齢は心臓弁膜症74.8±9.2歳、虚血性心疾患69.3歳±8.7歳と心臓弁膜症が有意に高かった。身長は心臓弁膜症156.8±10.7cm、虚血性心疾患162.3±9.5cmと有意差はなかった。体重は心臓弁膜症55.2±9.8kg、虚血性心疾患64.2±8.9kgと虚血性心疾患が有意に高かった。BMIは心臓弁膜症22.3±4.4、虚血性心疾患24.3±2.4と虚血性心疾患が有意に高かった。また6分間歩行距離は心臓弁膜症302.1±92.0m、虚血性心疾患は379.2±83.8mと虚血性心疾患が有意に高かった。予測6分間歩行距離は心臓弁膜症503.8±41.9m、虚血性心疾患は491.2±45.9mと有意差はなかった。【考察】 今回の予備調査では、予測6分間歩行距離に心臓弁膜症と虚血性心疾患の間で有意差はなかったが、実際の6分間歩行距離では心臓弁膜症に有意な低下が見られた。近年リウマチ熱等による若年者の大動脈弁狭窄症は減少し、高齢者の動脈硬化性大動脈弁狭窄症が増加傾向にある。加齢による移動能力の低下が、心臓弁膜症患者の6分間歩行距離低下に影響したと推察された。また、心臓弁膜症患者は、左室拡張末期圧の上昇等で労作時の胸部症状が出現し、日常生活活動の低下や活動量が減少している症例が見られる。これら日常生活の不活発化が、6分間歩行距離の低下に影響を与える可能性が示唆された。虚血性心疾患患者は心臓弁膜症患者と比較してBMIが高く肥満傾向であったが、若年者が多く加齢による移動能力の低下が少なかった事、亜硝酸薬の内服で運動制限が少なく良好な日常生活を過ごしていた事などが影響し、6分間歩行距離が有意に高かったと推察された。よって、術後リハビリテーションでは、心臓弁膜症患者は活動量の増加や移動能力の向上を目的に、歩行トレーニングを中心とした低負荷長時間の運動療法が重要であると思われる。また虚血性心疾患患者は肥満傾向にあったので、冠危険因子を是正し再イベントの発生を回避するため、減量指導や継続して有酸素運動を中心とした心臓リハビリテーションが重要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】 心臓弁膜症患者と虚血性心疾患患者の間で術前調査を行った。心臓弁膜症患者は、胸部症状の出現や加齢により移動能力が低下、虚血性心疾患患者は肥満傾向にある事が示唆された。本研究より、開心術後リハビリテーションでは、同一のクリティカルパスであっても両疾患の特性に応じたリハビリテーションが提供されるべきであると思われる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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