理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
肺炎後廃用症候群患者における当院回復期リハビリテーションの有用性について
鈴木 康太杉原 俊一山田 恭平
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p. Db1195

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抄録
【目的】 疾病構造の変化により死因の原因が生活習慣病に変化しているが,肺炎の死亡順位も第4位となり,高齢化の進行により比率が上昇している.肺炎患者は治療による安静臥床となり廃用症候群を引き起こす場合が多く,機能回復及び日常生活動作向上を目的とした回復期リハビリテーション(以下,回復期リハ)の役割は重要となるが,肺炎後廃用症候群(以下,肺炎後廃用)患者に対する効果の報告は少ないのが現状である.そこで本研究は,急性期病棟に加え,回復期リハ病棟を併設した施設の特長を踏まえ,回復期リハ病棟に入棟した肺炎後廃用患者について後方視的に調査し,回復期リハの有用性について検討する.【方法】 平成19年4月から平成23年7月にリハ処方となった肺炎後廃用患者60名のうち,回復期リハ病棟に入棟し,入院前の生活拠点が在宅であった28名を対象とした. 本研究では28名の転帰先を在宅群18名(80.7±8.4歳)と転院群10名(86.2±8.2歳)の2群に群別し,診療記録及びリハ科データベースより後方視的に調査した.調査項目は一般情報として現疾患,入院日からリハ開始までの期間,リハ開始から回復期リハ病棟入棟までの期間,回復期リハ病棟入棟から退院までの期間,全身状態の指標として入退院時のアルブミン分画(以下,ALB分画),リハ平均実施単位数(リハ実施単位数合計/訓練日数)を検討した.障害高齢者の日常生活自立度(以下,寝たきり度)については入院時と退院時,座位保持能力(自立/監視/一部介助/全介助),Functional Independence Measurement(以下,FIM)については入院時,入院から1ヶ月時,退院時,回復期リハ病棟入棟時の経過を調べ,2群間について比較,検討を行った. なお,年齢,在院中の各期間,リハ平均実施単位数,ALB分画,FIMについてはMann-Whitney U-testにて統計学的処理を行い,有位水準は5%未満とした.【説明と同意】 本研究ではヘルシンキ宣言に沿って,被験者又は家族には十分な説明を実施し同意を得た.【結果】 平均年齢は両群で80歳以上となり有意差を認めなかった.現疾患は在宅群で61.1%,転院群が60.0%で脳血管障害を有していた.入院からリハ開始までの期間は在宅群で10.4±7.0日,転院群では12.1±13.5日で,リハ開始から回復期リハ病棟入棟までの期間は在宅群が12.5±9.9日,転院群で31.2±22.8日であり,転院群で期間を要していたが有意差は認めなかった.回復期リハ病棟在院日数は在宅群が54.4±23.5日,転院群で57.3±25.2日となり有意差を認めなかった.リハ平均実施単位数は在宅群1.8±0.4単位/日,転院群1.8±0.2単位/日で有意差を認めなかった.ALB分画では在宅群が53.0±4.3%,転院群は52.9±7.1%となり,両群で基準値より低値を示し低栄養状態であったが有意差を認めなかった.寝たきり度は在宅群で自立度A2以上の群が入院時11.1%から退院時38.9%と増加し, 転院群では入退院時の変化はなかった.座位保持能力は在宅群で早期に向上し,転院群では向上しない傾向にあった.リハ開始時におけるFIM運動項目は在宅群が34.8±18.9点,転院群では27.9±13.8点,1ヶ月時は在宅群で49.8±24.8点,転院群は30.5±15.4点で,退院時は在宅群が54.6±24.4点,転院群では32.5±15.9点,回復期リハ病棟転棟時は在宅群で42.7±21.4点,転院群は26.7±12.7点となり,1ヶ月時,退院時,回復期リハ病棟入棟時で有意差を認めた.【考察】 対象者では在宅群,転院群ともに平均年齢80歳以上であり,リハ介入までに要した期間が両群とも10日前後で,安静臥床による二次的障害があったと推察され,廃用予防や肺炎治癒の観点から早期呼吸理学療法の介入が重要と考えられた. 肺炎後廃用患者の回復期リハに関する報告は少ない.肺炎を含む,廃用症候群の先行研究では(2008寺井ら),自宅退院可能となるケースは回復期リハ病棟入院中に運動機能が有意に改善すると述べており,本研究でも類似した結果となった.座位保持能力は在宅群で早期に向上することや,寝たきり度でも在宅群で入院時から退院時までに自立度が改善することから日常生活動作の向上に寄与したと考えられた. 全国回復期リハ病棟連絡協議会の報告では,肺炎を含む廃用症候群患者の在宅復帰率は61.1%であり,本研究における対象者の在宅復帰率は64.2%と類似した結果になり,機能回復や日常生活動作の向上は在宅復帰の一要因として考えられた. よって,高齢肺炎患者では急性期病棟における早期呼吸理学療法介入や,回復期リハにおいて日常生活動作の向上や在宅復帰を目的とした関わりが重要と示唆された.【理学療法学研究としての意義】 肺炎後廃用患者の回復期リハの有用性についての調査報告は少なく,様々な合併症を有する高齢肺炎患者の入院期間や転帰に影響を及ぼす因子の検討は重要であると考えられた.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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