理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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緩和ケア病棟配属の療法士の役割について
柳谷 哲史臂 美穂
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p. Db1227

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抄録
【はじめに、目的】 当院では2002年5月に5病床の緩和ケア病棟を開設し、当初よりOTが半日病棟配属となっていた。2007年度に6病床に増床、2008年度よりPT も半日病棟配属になり午後から2人体制で緩和ケア病棟のケアおよびリハビリテーションに当たっている。緩和ケア病棟でのリハビリテーションは一般病棟担当の療法士が緩和ケア病棟からの依頼によって患者に関わるケースがほとんどで当院のような緩和ケア病棟配属の療法士は数少ない。今回当院での療法士の働きを分析することにより緩和ケア病棟配属の療法士の役割について考察した。【方法】 2010年7月1日から2011年6月30日までに当院緩和ケア病棟を退院した患者84名について療法士の関わりをカルテより後方視的に調査した。療法士の関わりは心身機能評価(以下「機能評価」)、病棟における環境調整(以下「環境調整」)、離床の支援(以下「離床支援」)、各種運動療法(以下「運動療法」)、マッサージ・リンパドレナージ(以下「マッサージ」)、創造的な活動の支援(以下「創造活動」)、家族指導・家族ケア(以下「家族ケア」)、外出・外泊支援(以下「外出支援」)、在宅環境調整(以下「在宅調整」)の9項目に大別した。【倫理的配慮、説明と同意】 当研究においてPTは診療行為の一環として同意を得、個人情報保護に最大限の配慮を行った。【結果】 退院患者の性別は女性32名(38.1%)、男性52名(61.9%)。平均入院期間は22.4±21.8日。入院時のパフォーマンスステータスは1が2名(2.4%)、2が12名(14.3%)、3が46名(54.8%)、4が24名(28.6%)。転帰については死亡54名(64.3%)、自宅退院28名(33.3%)、一般病棟転棟2名(2.4%)だった。療法士の関わりは「機能評価」78名(92.9%)、「環境調整」47名(56.0%)、「離床支援」55名(65.5%)、「マッサージ」56名(66.7%)、「運動療法」32名(38.1%)、「創造活動」8名(9.5%)、「家族ケア」38名(45.2%)、「外出支援」6名(7.1%)、「在宅調整」8名(9.5%)だった。【考察】 当院緩和ケア病棟配属の療法士の役割は患者・家族への直接的な関わりと各種カンファレンスへの参加や計画書の作成、ホスピスボランティアの調整役などの間接業務とに大別されるが、今回は直接的関わりについてのみ分析した。「機能評価」は一部の極短期在院者を除いてほぼ全ての患者に対して行われていた。日に日に状態の変わる緩和期の患者に対して行うこまめな「機能評価」は療法士に求められている大きな役割である。患者の状態に合わせて移動やポジショニングに関わる福祉用具の適応を考える「環境調整」、イベントやティーサービスなどの離床機会を創出し安全で安楽な移乗・移動方法を提供する「離床支援」、リンパ浮腫や不動による不快感などに対応するための「マッサージ」はそれぞれ5割以上の患者に対して提供されていた。また緩和期においても筋力、動作能力の維持・向上を図る「運動療法」を必要とする患者は4割程度存在しており、家族への介護指導や心理的援助を行う「家族ケア」も半数近くの患者に対して行われていた。これらの5つの関わりについては患者・家族が療法士の関わりを望まないケース、家族や他スタッフのみで関わりが充足しているケース、病状により関わりが困難なケースなどが混在している。「創造活動」、「外出支援」、「在宅調整」は一定以上の心身機能や人的環境条件を必要とするため、それぞれ1割以下であったが療法士が行うべき重要な関わりである。「創造活動」は患者の役割意識を高めるとともに残される家族への思い出作りとしても機能しており、当院ではOTだけでなくPTも必要に応じて「創造活動」に関わっている。「外出支援」、「在宅調整」では療法士が患者の能力に応じた移動方法や在宅での療養環境を提案し、最期の時間をともに過ごしたいと考える患者・家族の想いをできる限り援助するように活動している。以上、緩和ケア病棟配属の療法士は病棟依頼だけでなく、充分な情報共有のもと自らニーズを把握することにより、患者・家族のQOLを高めるために多様な役割を果たす可能性があると考える。【理学療法学研究としての意義】 今研究では緩和ケア病棟配属の療法士の役割について考察した。現在、緩和ケア病棟におけるリハビリテーションが緩和ケア病棟入院料に包括されていることが問題とされているが、今研究により単位制だけでなく療法士の病棟配属による入院料加算制についても検討の余地があることを示唆できたのではないかと考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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