理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
特定高齢者における介護予防教室終了後の追跡調査
山本 圭彦, 山根 寛司, 細野 健太, 山口 敏美
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p. Ea1015

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抄録
【はじめに、目的】 2006年の介護法の改定以降、増大する保険認定者への対策として介護予防事業が行われてきた。その中で、特定高齢者に対して介護予防を図るため、介護予防教室に関する研究は進められている。著者らも特定高齢者を対象に3ヶ月間の介護予防教室の効果を検証し、歩行能力や下肢筋力およびバランス能力の向上を認め、運動器機能の向上に関して介護予防教室の有用性を示した。岩本らの報告では運動器機能は向上したが、生活面に関しては変化は得られず、長期的な介入が必要と述べている。特定高齢者を対象とした研究の多くは3ヶ月以内の期間が多いが、その後の追跡調査を行った研究は少なく、介護予防教室終了後に介護保険の認定を予防できているかは不明である。介護予防を検証するためには、介護予防教室前後の比較のみではなく、長期的な経過を調査する必要がある。今回は介護予防教室終了後に介護保険に認定した者と非認定者の特徴の違いを明らかにすることを目的としてアンケート調査を行った。【方法】 対象は介護予防教室を終了し、1年以上経過している特定高齢者23名(男性9名、女性14名)とした。平均年齢は79.3±7.1歳であった。後に示すアンケート調査により、介護保険認定の有無により認定群と非認定群の2群に分けた。介護予防教室はウォームアップ、筋力エクササイズ、バランスエクササイズなどの120分間の運動器機能向上プログラムを週に1回の頻度で3ヶ月間実施した。運動器機能の評価は片脚立位時間、Timed up and go test(TUG)、10m歩行時間、大腿四頭筋筋力を測定した。アンケート調査の項目は現在の介護保険認定の有無、介護予防教室終了後における運動習慣の有無および転倒発生の有無とした。運動習慣の有無の判定基準は日常生活以外に1週間のうち合計1時間以上運動を行っていることとし、運動の内容は規定しなかった。2群間の特徴を分析するため、介護予防教室終了時の年齢、BMI、片脚立位時間、TUG、10m歩行時間、大腿四頭筋筋力と介護教室終了からアンケート調査までの期間、運動習慣の有無、転倒発生の有無を比較した。年齢、BMI、10m歩行時間、片脚立位時間、TUGTは対応のないt検定、運動習慣の有無、転倒の発生はχ2検定を用いて危険率5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 発表に先立ち対象に書面により説明を行い同意を得た。なお、山口整形外科病院の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号1101)。【結果】 認定群は8名(34.8%:男性7名、女性1名)、非認定群は15名(男性2名、女性13名)であった。それぞれの平均年齢は80.1±5.4歳、74.5±7.1歳、身長は158.5±7.1cm、153.7±6.7cm、体重は56.9±7.1kg、50.0±9.7kg、BMIは22.7±3.0kg/m2、21.2±3.9kg/m2、介護予防教室終了からアンケート調査までの期間は32.9±12.8ヶ月、28.2±7.3ヶ月であった。介護予防教室終了時の運動器機能はそれぞれ片脚立位時間は6.1±5.1秒、20.6±10.7秒、TUGは9.3±2.5秒、6.3±1.4秒、10m歩行時間は7.3±1.3秒、5.8±1.5秒、大腿四頭筋筋力は3.6±0.9N/kg、3.1±0.8 N/kgであった。介護教室終了後に運動を継続していたのは認定群は6名、非認定群は9名であり、転倒が発生したのは認定群は3名、非認定群は1名であった。2群間の比較では介護予防教室終了後の片脚立位時間、TUG、10m歩行時間に有意差を認めた(p<0.05)。【考察】 地域高齢者おけるADL障害の発生を追跡調査した研究では、年齢、下肢機能、身体活動、慢性疾患などが予測因子としてあげられている(Balzi D;2010)。本研究はADL障害の発生ではなく介護保険認定の有無で調査したが、片脚立位時間、TUG、10m歩行時間に有意差を認め、介護予防教室ではTUGや10m歩行時間のような歩行能力を高めることで介護予防教室終了後にも介護保険が必要になりにくいことが示された。特に片脚立位時間に有意差が得られたことから、バランス能力のように体をコントロールする能力は重要な要素かもしれないと考える。しかし、介護予防教室終了後の運動の継続の有無には有意差がなく、運動を継続していても介護保険の認定を受けた対象者もいた。Wolinskyらは活発な運動がADL障害の発生と関与していると述べており、今回のアンケート調査では運動内容は規定していなかったが、介護予防にはある程度の強度のある運動の継続が求められると考える。今後は対象者を増やし、さらに長期的に追跡調査を行うとともに、高齢者に無理なく継続できる運動を模索し、効果的な介護予防を提供していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 介護予防教室終了後の追跡調査は少なく、介護予防を目的とした体づくりや生活指導において、本研究は重要なデータを提供できたと考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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