理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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終末期リハビリテーションにおける理学療法評価思考ツールの開発に向けた暗黙知モデルの有用性について
─理学療法士へのアンケート調査から─
中田 加奈子池田 耕二山本 秀美
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p. Eb0608

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抄録
【はじめに、目的】 我々は第50回近畿理学療法学術大会(和歌山)において、終末期寝たきり高齢患者に対する理学療法評価思考ツールの開発に向け、理学療法士の暗黙知の構造化を行った1)本研究の目的は、その構造化した暗黙知(以下、暗黙知モデル)の有用性をアンケート調査によって検討することである。【方法】 対象者は理学療法士42名(平均年齢28±6.3歳)とした。その内訳は、医療施設39名、介護保険施設3名、男性18名、女性24名、平均理学療法経験年数は5.6±4.9年であった。方法は終末期リハビリテーション(以下、終末期リハ)と暗黙知モデルに対する設問10項目からなるアンケートを作成し回答を求めた。設問の内容は、終末期リハについて1)終末期の患者を担当したことがあるか、2)終末期リハに対して興味があるか、3)終末期リハでは従来の評価とは違う評価が必要だと思うかであった。暗黙知モデルについては4)終末期患者に対する評価の際、これを参考にしようと思うか、5)これを参考にすれば全体像をすばやく把握できるようになり少しでも評価スピードがあがると思うか、6)終末期患者をみる際に今までと違った視点で評価できるような気がするか、7)実習生、新人理学療法士に教育する際に一つの思考ツールとして役立つと思うか、8)このようなものが終末期患者の状態に合わせてもっと多くあればいいと思うか、9)理学療法士の暗黙知等の構造化に興味はあるか10)このモデルに付け加えればよいと思うところはあるか、またそれはどのようなところか(自由記載)であった。なお回答形式と分析方法については、質問1)~3)、10)では有・無による二項回答法を用いて各割合を算出し、その他の質問では0を「全く思わない」、5を「大変思う」とした6段階リッカート尺度を用いたうえで、検討しやすくするために0と1を否定的回答、4と5を肯定的回答として集計し各割合を算出した。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の主旨と目的を説明し承諾を得た。【結果】 結果は、設問1)で経験があると回答したものは80.9%であり、2)終末期リハに興味があると回答したものは64.3%であった。また3)終末期リハには従来の評価とは違う評価が必要だと回答したものは83.3%であった。設問4)の評価の際参考にしようと思うかは、否定的14.2%・肯定的52.3%(以下、否%・肯%と記載する)であり、5)評価スピードがあがると思うかは否14.2%・肯47.5%、6)今までと違った視点で評価できるかは否16.5%・肯49.9%であった。設問7)の実習生、新人理学療法士に教育する際に役立つと思うかは否11.8%・肯73.8%であり、8)こうしたモデルがもっと多くあればいいと思うかは否11.9%・肯52.3%、9)理学療法実践における理学療法士の暗黙知等の構造化に興味があるかは否11.8%・肯42.7%であった。設問10)の本思考手順に付け加えたほうがいいと回答したものは52%であり、どのようなところかは、家族・介護者の事、意欲、精神的状態、嚥下機能、食事形態などであった(自由記載)。【考察】 本研究では、対象者の約8割が終末期リハを経験し、従来とは違う評価を必要と考え、約6割が終末期リハに興味を示していることが分かった。これらから終末期リハは理学療法士にとって身近なものになっていると考えられた。また、5割のものが本暗黙知モデルを参考にしたいと考え、参考にすることで評価スピードがあがり、今までとは違った視点で評価ができると回答したことから、本モデルは実践において活用できる可能性があると考えられた。一方、約7割のものが、教育する際に役立つと思ったことからは、本モデルは教育ツールとしても活用できると考えられた。しかし、それぞれの設問には否定的回答もあったことから有用性を明確にするには、実践効果も含めさらに検討を加えていく必要性があると考えられた。他方、このようなモデルが必要と思うものや、暗黙知等の構造化に興味を示すものが約4~5割いたことからは、こうした研究に対する期待感を感じることができた。よって、今後も継続して理学療法評価思考ツールの開発に向けて取り組んでいきたい。【理学療法学研究としての意義】 終末期リハにおける暗黙知モデルは実践や教育において有効活用できる可能性があることから、終末期リハの発展を担うという意味で本研究は理学療法研究として意義あるものと考える。【参考資料のアドレス】 1)ttp://www.jstage.jst.go.jp/article/kinkipt/2010/0/2010_12/_article/-char/ja/(2011.11.8参照)
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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