理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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テーマ演題 口述
訪問リハビリテーション利用者における要介護度の変化
大沼 剛阿部 勉
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キーワード: 在宅, 要介護度, ADL
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p. Ec0384

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抄録
【目的】 訪問リハビリテーション(以下,訪リハ)の効果に関する研究では,日常生活活動(以下,ADL)の向上や離床時間の短縮など一定の効果が報告されている.しかし,長期的な調査により要介護度の変化を追跡した研究はみられない.そこで,本研究は訪リハ利用者における要介護度の変化とその要因について調べることを目的とした.【方法】 2005年9月1日~2010年3月31日(4年7ヶ月)の間に当ステーションで訪リハを新規に利用した311名のうち,訪問期間中に介護保険認定の更新があった者を対象とした.訪問開始より1ヶ月以内に介護保険認定の更新があったものは対象から除外した.対象者の訪リハ開始時における基本情報および身体的,社会的情報を訪問看護システム「コスモスVer1.10」,カルテ,指示書及び居宅サービス計画書から得た.年齢,性別,要介護度,主疾患,罹患年数といった個人的要因のほか,身体的要因としてADL(Barthel Index:BI),歩行自立度,認知症性老人の日常生活自立度,社会的要因として同居の有無,訪問継続期間についてのデータを収集した.対象者のうち,要介護度が良好となった者を軽度化群,変化のなかった者を維持群,低下した者を重度化群とした.天井効果,床効果の影響を除くため,開始時の要介護が5であり,且つ終了時の要介護度も5であったものは,解析から除外した.開始時終了時ともに介護度が要支援1だったものはいなかった.また要支援1~要介護2を軽度要介護群,要介護3~要介護5を重度要介護群とし,要介護度の変化を調査した.抽出項目が名義尺度の場合はカイ二乗検定を用い,連続変数である年齢及び罹患年数,BIは分散分析を行い,その後多重比較検定にて3群間の比較を行った.統計解析はSPSS10.0を用い,危険率は5%未満とした.【説明と同意】 本研究の対象となった訪リハ利用者には,サービス導入時に個人情報使用および調査研究目的の情報活用に関する説明を口頭および書面にて行い,同意を得た.対象者本人による同意が困難な場合は,主たる介護者である家族から同意を得た.なお,本研究によって得られた情報は,通常の在宅サービス業務で必要な情報による後方視的調査であるため,対象者には考え得る不利益は存在しないと考える.また,本研究は植草学園大学倫理審査委員会からの承認(受付番号10-06-2)を得て実施した.【結果】 対象者311名のうち,要介護認定の更新があったものは162名で,開始時の要介護度は,要支援1:3名,要支援2:6名,要介護1:20名,要介護2:27名,要介護3:41名,要介護4:41名,要介護5:24名であった.開始時終了時ともに要介護5の認定を受けた16名を除いた146名(年齢:77.9±10.1歳,男性67名,女性79名,訪問継続期間21.5±13.9ヶ月)を解析対象とした.軽度化群は37名(25.3%),維持群が53名(36.3%),重度化群が56名(38.4%)であった.軽度要介護群では,軽度化群が7名(12.5%),維持群が14名(25.0%),重度化群が35名(62.5%)であり,重度化群の割合が多かった.一方,重度要介護群においては,軽度化群が30名(33.3%),維持群が40名(44.4%),重度化群が20名(22.2%)であり,重度化群よりも軽度化群・維持群の割合が多かった.訪問開始時の各変数を3群間で比較した結果,BIが軽度化群で73.8±19.6点,維持群で61.2±24.5点,重度化群で60.2±25.2点であり,重度化群に比べて軽度化群で開始時のBIが有意に高かった(P<0.05).その他の変数では,3群間に有意差はみられなかった.【考察】 本研究の調査により,訪問リハ利用者において介護認定の更新があった者のうち,重度化した者が56名(38.4%)であり,維持・軽度化した者は合わせて90名(61.6%)であった.そのうち軽度要介護群において重度化の割合が多く,軽度要介護者は要介護度が重度化しやすいことがわかった.また,要介護度の変化に開始時のADL得点が関係している可能性が示唆された.但し,本研究にはコントロール群がなく,他サービスの利用状況,新規の疾病の罹患や心身状態の悪化を考慮に入れておらず,後方視的研究でもあるため,訪問リハの効果により要介護度が変化したとは言い切れない.【理学療法学研究としての意義】 訪問リハ利用者の在宅生活を継続する要因としてADLがあげられており,本研究においても要介護度変化にADLが関係している可能性が示された事からADLの重要性が再認識された.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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