理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
長期臨床実習に与えるストレス因子の影響について
島袋 義人松本 泉渡久山 竜彦
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キーワード: ストレス, 臨床実習, 教育
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p. Ga0187

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抄録
【はじめに、目的】 理学療法教育における臨床実習は、学内で学んだ基礎知識や技術を基盤として、実際に臨床場面において身体に問題のある人を対象に、必要な評価及び理学療法をその人の尊厳を守りながら判断し実践することを学ぶ場で、学生として極めて大きい教育的役割がある。臨床実習では、学生にとって理学療法実践そのものがストレッサーであり、その上実習施設という通常とは異なった臨床の教育環境の中で、臨床実習指導者、リハビリテーションおよび病院スタッフ、患者さんなどの人間関係において、精神的身体的ストレスが生じ易い状態にある。学生自身は卒業要件がかかり評価されているため、過度に緊張状態が続いている。その緊張のストレスに自らを適応させ学習意欲を高め、人間成長の動機付けに寄与する事もあるが、中には、不安や抑うつ気分、怒りなどの情動的反応が続きストレスを解消されずにストレス反応が増強し、二次的な心身機能の障害などにより、実習の評価が不合格、または実習の中断を余儀なくされることもある。臨床実習のストレス状況を事前に予測できれば、学生自身のストレス耐性及び対処支援できるのではないかと考えて今回の調査研究を行った。【方法】 対象者 平成23年度の臨床実習に参加した本学院学生、内訳は昼間部(男性:19名・女子:6名)・夜間部(男性:12名・女性:2名)合計39名を対象とした。方法 長期臨床実習を実施する直前及び終了後、簡易的にストレス反応の状態を測定できる鈴木ら1)が作成した心理的ストレス反応測定尺度(Stress Response Scale-18;以下SRS-18と略記する)を用いてストレス反応を測定した。測定時期は、長期臨床実習Iを開始する直前と実習終了後に測定し、長期臨床実習IIを開始する直前と実習終了後に測定し、計4回ストレス反応を測定した。その結果から各因子に分類し第I因子を抑うつ・不安、第II因子を不機嫌・怒り、第III因子を無気力、各因子の得点を算出し、平成23年度長期臨床実習結果とそれぞれの各因子をピアソンの相関係数にて統計分析を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究に際して、対象者には長期臨床実習評価判定または、SRS-18の結果を全員に口頭にて説明し全員から了解を得て行った。【結果】 長期臨床実習Iの実習評価判定とSRS-18の結果に対しては、実習直後、終了後では各因子の抑うつ・不安、不機嫌・怒り、無気力の各因子でストレスが有ったとしても臨床実習評価判定に対して影響は無く、長期臨床実習IIの実習評価判定と実習直前において、抑うつ・不安、不機嫌・怒りの因子に関しては影響は無く、ストレス因子の無気力傾向が強い学生に関しては、臨床実習の実習評価判定に対して大きく影響を与える傾向に有意差(P<0.05)を示した。【考察】 理学療法教育における臨床実習は、学生が3年間または4年間で学んだ基礎知識、技術を実際に確認する場であり、それなりのストレスがかかる事は間違いないと思われる。今回各臨床実習に出る前または終了後にSRS-18にストレスと確認したところ、臨床実習終了後では殆どの学生がストレスは無く、臨床実習直前ではストレスが掛かっている状態であった。1回目の臨床実習では、そのストレスが実習でいい緊張感である為、全て学ぶ事を吸収したいと意気込んでいる事で高評価を受ける学生が多いと考える。2回目の臨床実習では、高評価を受けた結果を踏まえて臨床実習へ挑み、実習に対しての緊張感はあるが1回目の臨床実習の経験があり流れは習得し、学生自身がこれでいいとある一線を作り無気力状態から臨床実習を失敗する傾向にあった。それを踏まえて学内では、特に2回目の長期臨床実習に挑むさいには学生自身に臨床実習を経験しても不十分な点が多い事を自覚させ緊張感を与える事で、無気力状態を改善する事で向上心が高まると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 臨床実習は、学生自身がこれまで学んだ事の実践の場であり心理的な影響で臨床実習の判定が下がるのであれば学生にとっては不幸であり、また、養成校にとても学生の判定を臨床実習で受けている事で養成校の指導・教育方針される場でもある。結果質の高い理学療法士を育成することが可能となり社会貢献に繋がると考えられる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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