抄録
【はじめに、目的】 近年、リハビリテーション職員数は増加の一途をたどっている。新人スタッフも多い中、部門管理を行う上で人材育成は大きな課題となっている。また、職務満足感は職員の態度や提供されるサービスの質に影響すると考えられる。本研究は,職務満足感に影響する要因について探求し、リハビリテーションスタッフの職務満足感を高めるためにどのような側面に働きかける必要があるか検討する資料を得ることを目的としている。【方法】 当院リハビリテーション部職員(PT:20名、OT:12名、ST:6名)を対象とし、アンケートを配布した。回答のあった38名(男性14名、女性24名)を分析対象とした。アンケートの内容は、職務満足感と職務満足感に影響をおよぼすと予測される因子に関する質問の計70項目とし、全ての項目にて4件法を用いて回答を得た。職種間における職務満足感の比較にはkruskal-Walisの順位和検定、性別による職務満足感の比較にはWilconxonの符号付順位和検定を用いて分析した。職務満足感と各質問間の関係についてはSpearmanの順位相関係数の検定を用いて分析した。統計ソフトはPASW Statistica ver18を用い、統計学的有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本調査を実施するにあたっては研究目的を対象職員に対し口頭、および書面にて説明し、その際、不利益やリスクがなく、個人が特定されることの無いようプライバシー保護に十分配慮し、データは統計的に処理することを伝え,同意を得た上で研究を実施した。【結果】 職務満足感の性別による有意差はみられず、また職種間の比較でも有意差はみられなかった。職務満足感と職務満足感に影響をおよぼすと予測される要因との相関では「自分の行っている仕事(内用、質、やり方)に満足している」(ρ=.59)、「現在の仕事にやりがいを感じている」(ρ=.54)、「目標の達成に向けてリハ職員が一丸となる雰囲気がある」(ρ=.63)、「現在の職場に愛着を感じている」(ρ=.61)の4項目において相関がみられた。また職務満足感に影響をおよぼすと予測される要因間の相関では「自分の行っている仕事(内容、質、やり方)に満足している」と「現在の職場に愛着を感じている」において相関(ρ=.59)がみられた。【考察】 今回の結果では、「自分が行っている仕事(内容、質、やり方)」、「仕事に対するやりがい」が職務満足感に因果関係があることが示唆された。このことからリハビリテーション業務そのものを見直し、個々人に対しやりがいのある業務を与えることが管理者として求められていると思われる。「目標の達成に向けてリハ職員が一丸となる雰囲気」が職務満足感と相関がみられたことは、職員をまとめるための職場目標の設定や、役割、人間関係の調整も部門管理には重要であると思われた。また「職場に対する愛着」と職務満足感に相関がみられたが、職場への愛着を感じる要因が多種多様であるため職場満足度が高ければ職場に対する愛着が生まれるとはいえない、しかし「職場に対する愛情」と「自分が行っている仕事」との間にも相関がみられたことから、少なくとも自分の行っている仕事に満足することが職場に対する愛着を生むための要因になるのではないか思われる。今後の課題としては「職員が望むリハビリテーション業務とは何か?」といった質的なものを職員一人一人から面談等を通じて把握していくことが大切であると考える。【理学療法学研究としての意義】 組織を存続させ・発展させるためにも、職務満足感向上に必要な要因を検討することで、部門管理・人材育成のための一助とする。