理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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学外評価実習前の症例検討グループワークで高齢者体験装具を用いる意義
奥 壽郎, 廣瀬 昇, 中山 彰博
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p. Gb1452

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抄録
【はじめに】 3年次評価実習前指導において、臨床に即した形で患者を想定し実習前指導を行うことが重要である。今回、高齢者体験装具(以下、装具)を用い実習前指導を実施しその意義について検討した。【方法】 研究の同意が得られた、平成22年度3年生44名を対象とした。3年生を8グループ(に分け高齢者大腿骨頸部骨折後人工骨頭置換術症例を紙面で症例の情報を与えPT評価を目的に症例検討グループワークを行った。装具を用い模擬患者を設定した症例検討と、装具を用いずに模擬患者を設定した症例検討を実施した。装具は、京都科学社製高齢者体験装具「おいたろう」を用いた。グループワーク終了時に無記名留置き式アンケート調査を実施した。アンケート内容は症例検討に際し装具を用いる意義について尋ねた。【説明と同意】 本研究は帝京科学大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】 「症例検討全体として装具を用いる有益性」について全員「有益である」であり理由は「高齢者の姿勢や動きがわかりやすい」,「高齢者をイメージしやすい」であった。「理学療法検査測定毎」において問診は「有益である」は44名31名(70.5%)で理由は「高齢者の特徴である難聴に対してよい経験になる」、「有益でない」は1名(2.2%)であり理由は「問診は装具の影響はない」、「どちらでもない」は12名(27.3%)であり理由は「問診では装具の影響はない」であった。下肢周径測定では「有益である」は44名中14名(31.8%)で理由は「練習・経験になった」,「装具により測定しにくかった」、「有益でない」は11名(25%)で理由は「周径差は装具の影響はない」、「どちらでもない」19名(43.2%)で理由は「周径差は装具の影響はない」,「時間がなく実施できなかった」であった。下肢長測定では「有益である」は44名中16名(36.7%)で理由として「練習・経験になった」,「装具により測定しにくかった」、「有益でない」は9名(22.4%)で理由は「脚長差は装具の影響はない」、「どちらでもない」は18名(40.9%)で理由は「脚長差は装具の影響はない」であった。ROM-Tでは「有益である」は44名中42名(95.5%)で理由は「装具を用いることで制限がある,痛みがある,肢位がとれないなどで関節可動域測定の練習・経験になった」,「高齢者をイメージしやすかった」、「どちらでもない」は2名(4.5%)で理由は「関節可動域測定では装具の影響はない」であった。MMTによる筋力測定では「有益である」は44名中30名(68.2%)で理由はROM-Tと同様であった。「有益でない」は5名(11.7%)で理由は「筋力低下は装具の影響はない」、「どちらでもない」は9名(20.1%)で理由は「筋力低下は装具の影響はない」,「時間がなく実施できなかった」であった。バランス検査は「有益である」は44名中42名(95.5%)で理由は「バランスの異常がわかりやすかった」,「分析しやすかった」,「高齢者をイメージしやすかった」、「どちらでもない」は2名(4.5%)で理由は「平衡反応異常は装具に影響しない」であった。姿勢分析では「有益である」は44名中44名(100%)で理由は「円背,膝関節屈曲肢位など高齢者の異常姿勢がわかりやすかった」,「高齢者をイメージしやすかった」であった。動作分析では「有益である」は44名中41名(93.2%)で理由は「異常動作がわかりやすかった」,「分析しやすかった」,「高齢者をイメージしやすかった」、「有益でない」は1名(2.3%)で理由は「患者役が演じきれていない」、「どちらでもない」は2名(4.5%)で理由は「ケースに関する情報が少ない」であった。歩行分析では「有益である」は44名中42名(95.5%)で理由は「異常歩行がわかりやすかった」,「分析しやすかった」,「高齢者をイメージしやすかった」、「どちらでもない」は2名(4.5%)で理由は「ケースに関する情報が少ない」であった。【考察】 症例検討に装具を用いることは、有意義であるとの意見が得られた。健常者が装具を用いずに高齢者を演じることは限界があると考えられる。装具を用いることで高齢者の身体的変化を再現しやすくなる。このことにより、臨床場面により近い患者設定ができ、理学療法評価を進める上で充実したグループワークができたものと考えられた。しかしながら形態測定は、有意義であるとの意見は30%に留まっていた。下肢周径差,下肢長差を再現することは困難であり形態異常は装具では設定しにくく、今後は装具に加えて形態異常を再現しやすいような創意・工夫が必要である。さらに、意義については検討したが効果に関する検討は今後の課題である。【理学療法研究としての意義】 健常者を対象とした学内教育において、実習前指導に高齢者体験装具を用いることは臨床実習に近い状況で指導が可能である。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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