理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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テーマ演題 口述
臨床実習における理学療法マインドの伝道意義を再考する
─臨床実習のアンケート調査を基にして─
鶴見 隆正鈴木 智高川村 博文辻下 守弘甲田 宗嗣
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p. Gc0403

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抄録
【はじめに、目的】 臨床実習教育は理学療法士養成過程において、量的・質的にも重要な部分を占めており、同時に学生にとって臨床実習は、学内教育では修得できないほど奥深く、刺激的なものである。それ故に臨床実習における学生指導の視点は重要であり、臨床実習指導者(以下SVと略す)はじめ学生指導に携わる多くの理学療法士には効果的な学生指導が求められている。そこで今回、臨床実習教育の現状についてアンケートを実施し、とくにSVが学生指導において何を重点にして臨床実習に関わっているかを明らかにするとともに、臨床実習における学生に対する「理学療法マインド」の伝道の意義について検討したので報告する。【方法】 臨床実習教育の現状把握と臨床実習指導をする際の課題、あるいはSVは何をポイントに実習指導しているのかを把握するために、郵送質問紙法(質問22項目)によるアンケートを実施した。対象は、日本理学療法士協会の会員名簿から抽出した110名とした。【倫理的配慮、説明と同意】 調査に当たっては、個人および施設等が特定できない調査システムや回答内容の保存管理等を記し、調査目的を理解したうえで協力を求め、研究倫理には十分配慮を行った。【結果】 71名(回収率64.5%)から回答を得た。その内訳は、理学療法士経験年数が3~5年8名(11.3%)、6~10年8名(11.3%)、11年以上55名(77.3%)であり、また所属属性では、急性期、回復期が同程度であった。1 臨床実習の受け入れに関して:(問1)臨床実習を受け入れる際の大きな要因(2選択)?・後輩の育成は専門職としての義務だから87.3%、・SV、スタッフにとって学術的刺激になる66.2%、・病院の役割、社会貢献のため21.1%、・臨床実習の要請は断れない16.9%、・その他4.2%であった。臨床実習の受け入れに関しては、専門職としての「義務」だとしている理学療法士が大半であることに注目すべきである。2 学生の指導体制について:(問1)SVと学生との指導体制?・SVに学生1名92.8%、・SVに学生2名4.3%、・スタッフ全員で指導5.8%であった。(問2)学生(総合臨床実習2期目を想定)の担当患者数はどのように?・担当患者は1名以上で退院、実習終了まで学生の完全担当制20.3%、・完全担当制を基本に一定期間(評価や治療プログラム)を担当する59.8%、・完全担当制でなく、一定期間のみ複数患者を担当する6.8%、・クリニカルクラークシップを基本とする13.5%であった。3 臨床実習での学びについて:(問1)SVが学生に伝え、学んで欲しいと強く思うものは(2選択)?・臨床における理学療法過程のより正確な体験を45%、・臨床推論の重要性を45%、・理学療法マインドや理学療法観を51%、・患者の心理社会的課題とその背景を37%、・理学療法士の職能的な現状と課題を6%、・その他8%であった。「理学療法マインドや理学療法観」を伝えたいとの回答が最も多かったが、同様に学生がimpairmentの的確な評価を遂行し、プログラム立案から実施という一連の理学療法過程を体験し、impairmentの予後をも勘案しながらADL、社会生活までを総合的に分析することの重要性を学んで欲しいとも願っていると言える。【考察】 「理学療法マインド」を学生に伝道したいというSVの想いについて注視すべきであるが、それにもまして学生らは「SVのような理学療法士になりたい」「あの先生のような患者・家族に寄り添うような理学療法道を学びたい」「あの先生のような理学療法マインドを身につけたい」など、理学療法・士のやりがいや奥深さ、醍醐味、さらには社会の中での理学療法・士の存在、位置づけを学生なりに見出している。したがって臨床実習ではimpairmentを中心とした理学療法過程の体験や学びも大切であるが、SV自身の理学療法マインド、理学療法道なるものを、これからの理学療法界を担うであろう学生に語り、感じさせることは意義深い。具体的にはSVが苦労されながら患者の就労支援をされたこと、就学支援をされたこと、患者家族に寄り添ったこと、支え合う地域社会づくりに関わったことなど、すなわち、SV自身の理学療法士としてのこれまでの「来し方」を示していくことは大変意義があると考える。この「来し方」を踏まえた「理学療法マインド」に触れることで、学生は将来を見据えた能動的な学習行動に変容し、成長するものだと確信している。【理学療法学研究としての意義】 急増する養成校の臨床実習環境の今こそ温故知新である。理学療法の原点である「理学療法マインド」を再考し、それを臨床実習の場で学生に伝道してこそ、「気づき」を深め、学生が能動的に行動変容する新たな臨床実習教育の第一歩となると考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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