理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-12
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ポスター発表
母趾人工関節置換術を併用した足趾形成術後の変化と足趾装具の有効性について
福迫 剛橋口 円俵積田 光宏上村 明子俵積田 麻里岩川 良彦原 光一郎有島 善也南川 義隆
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抄録

【目的】関節リウマチ(以下RA)の足趾の変形は外反母趾とともに疼痛を生じることが多い。このような足趾の変形の観血的治療として足趾関節形成術を施行することがある。術後の足趾の調整のために従来は義肢装具業者に依頼して硬性の足趾装具を作製していたが術後の腫脹が軽減するまでの約3週間は装具を作製することができず,術後早期からの足趾アライメントの調整ができない。また,装具業者に依頼しても腫脹の軽減や足趾アライメントの変化に応じた迅速な対応が困難なことが多い。これらのことからなるべく術後早期から足趾アライメントを調整するために各足趾の内外反の矯正だけでなく屈曲伸展方向の調整も可能となる足趾装具(hanging toe brace 以下HTB)を当院で作製し,術後2日~1週間で装着,術後2~3ヶ月間は24時間装具を装着している。術後,抜糸するまでの約2週間は硬性のHTB(以下HTB hard)を使用し,抜糸後は約2~3ヶ月間,軟性のHTB(以下HTB soft)を使用する。今回,外反母趾変形に対して母趾中足基節関節の人工関節置換術(Swanson flexible hinge toe implant)を併用した足趾関節形成術を施行した症例の術前から術後の変化を評価し,足趾のアライメントの経時的変化と装具の有効性について検討したので報告する。【方法】被験者はRA患者12例(男性2例,女性10例)22足を対象とした。年齢は平均59.2±10.8歳(45歳~80歳)であった。術後に当院で作製したHTBを使用した16足とHTBを使用しなかった6足(従来の足趾装具を使用した4足と装具を使用しなかった2足)を対象とし,足趾のアライメント評価はX線による外反母趾角度(以下HV角)で評価した。HV角は術前,術直後,術後1週,術後3週,術後3ヵ月,最終(術後9ヵ月~3年,平均14.3±7.6ヵ月)の6期に分けて比較検討した。今回はHTBを使用した16足を最終でHV 角20°以下8足とHV角21°以上8足に分けた。HTB未使用6足をHTB未使用群,HTB使用HV角 20°以下をHTB使用正常群,HTB使用HV 角21°以上をHTB使用外反群とし,各群でHV角について各期ごとにTukey testによる多重比較検定を行い,3群間で各期ごとにDunn法による多重比較を行った。統計処理での有意水準は5%以下とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象となる症例には研究の内容を説明し,同意を得た。【結果】3群の各期での比較では,HTB未使用群,HTB使用正常群とも術前と全期間でのみ有意差がみられた。HTB使用外反群では術前と全期間だけでなく術直後と最終との間に有意差がみられた。3群間各期ごとの比較では,HTB未使用群-HTB使用外反群での術前で有意差がみられた。HTB使用正常群-HTB使用外反群では、術後3週,術後3ヶ月,最終でのみ有意差がみられ,HV角平均値の差も術後3週から最終まで徐々に拡大していった。HTB未使用群で術後に装具を使用しなかった2足趾は最終でもHV角は正常域内で良好であったが,母趾以外の足趾のアライメントは不良であった。【考察】3群とも術前と全期の間に有意差がみられ,HTB使用外反群では術直後と最終の間にも有意差がみられた。また,HTB使用正常群とHTB使用外反群の各期ごとの比較では術前から術後1週までの有意差は認められなかったが,術後3週から術後3ヶ月,最終に有意差がみられ,HV角平均値の差も術後3週から最終まで徐々に拡大していった。これらのことから人工関節置換術によりHV角は改善されるが,HTBを使用しても最終でHV角が21°以上の場合は術後3週からHV角が増悪する可能性が示された。HTBを使用してもこのように差異が生じたのは,術後の母趾の矯正が不十分であったことが要因と思われ,術後3週ですでにHV角が有意に増悪していたことから抜糸が施行される術後2週間までの母趾の調整が重要であると思われる。つまり、術後2週間までに術後の母趾の矯正が十分にできなかったことが最終時における外反母趾の再発につながったと考えられる。HV角のHTB未使用群とHTB使用外反群の各期ごとの比較では,術前のHV角でのみ有意差が認められ,HTB未使用群のHV角が有意に低値であったことから術前の外反母趾が高度でもHTBを使用することにより一定の効果はあったのではないかと考えられる。HTB未使用群で装具を使用しなかった症例では母趾以外の足趾のアライメントは術前の状態に戻っていたことから,外反母趾の程度が軽度でも他足趾の変形が高度であると術後に術前の状態に戻りやすいと考えられ,術後の母趾以外の足趾のアライメント調整も重要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】足趾関節形成術後早期から足趾のアライメント調整ができる装具を使用することで術後の足趾変形の再発を防止することができる。

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© 2013 日本理学療法士協会
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