理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-10
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ポスター発表
チーム医療における理学療法士
現状と今後の課題
小澤 伸治
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キーワード: チーム医療, 多職種, 専門性
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抄録
【はじめに、目的】急速な医療の高度化、ニーズの多様化に伴い高い専門性をもつ医療従事者が協業して患者中心の医療を実践するチーム医療の重要性が強く認識されつつある。厚生労働省内には「チーム医療推進に関する検討会」が設置され、各専門職団体で活発な取り組みが行われている。我々理学療法士(以下PT)もまた国民の健康を支える重要な専門職として積極的にチーム医療に参画し独自の専門性を発揮していくことが重要である。元来、リハビリテーション医療そのものが多職種よるチームとして展開することによってはじめて効果を発揮できるが今日、求められている疾患別、目的別に構成された組織横断的なチームにおいても同様にPTが果たすべき役割は拡大しつつある。PTの中でチーム医療の臨床的必要性は共通認識として浸透しつつあるものの通常業務との兼ね合いなどその位置づけについては曖昧な点も多く組織の中で十分なコンセンサスを得るまでには至っていないのが現状である。今回の調査では現在のチーム医療の展開状況を把握すると同時に「チーム医療」に対するPT個々の意識を明らかにすることによって今後のチーム医療におけるPTのあり方や役割について考察を加えた。【方法】一般病床を有する急性期病院、並びに所属するPTに対しアンケートを依頼、7施設、77名から有効回答を得た.【倫理的配慮、説明と同意】本調査報告は当院倫理委員会の承諾及び対象者への説明と同意のもと実施された。【結果】回答したすべての医療機関において何らかのチーム医療が展開されておりその中でも医療安全、褥瘡対策、感染対策については全医療機関で実施されていた。栄養サポートチーム(以下NST)、呼吸ケアチーム(以下RST)、糖尿病チーム、在宅ケアチームは約半数で実施されていたものの緩和ケアチーム、肝臓病チームにおいては実施されているのは少数に止まった。PTの意識調査では大多数がチーム医療の必要性を認識し積極的に参加すべきであるとしており約3割が既にチームの一員として活動していた。実際に活動しているのは医療安全、糖尿病が19%で最も多く、次いでNST、感染対策、在宅ケアが15%で続き化学療法への参加はゼロであった。活動は概ね業務時間内で行われており全員が一般メンバーとして参加していた。活動の有無に関わらず、約8割が今後も活動を継続したいと考えている反面、約2割は「通常業務に追われ余裕がない」「他の事に時間を使いたい」という理由から活動の継続には消極的であった。また60%以上が活動においてPTの専門性が十分には発揮されていないと考えておりその理由は「知識、技術が不十分」が35%、「他職種がPTを十分理解していない」が29%「自分の考えを他職種に伝えられない」と「組織の階層性など環境的問題」が17%であった。【考察】全医療機関で医療安全、褥瘡対策、感染対策の各チームが活動していたのは急性期を担う医療機関のエントリー条件としてこれらの活動が認識されているためと考えられ診療報酬上の裏付けがこれを後押ししている。NST、RSTが過半数の医療機関で展開されている点も同様に急性期医療の質を担保するために取り組みが必須とされている現れといえる。医療政策の主軸である「機能分化」に呼応し現在、各医療機関は診療の専門特化を進めている。今回、緩和ケア、糖尿病、肝臓病の各チームを持つ医療機関、参加するPTが少数に止まるのはある意味「選択と集中」が進んでいる結果とも考えられる。多くのPTがチーム医療の必要性について認識している反面、実際活動しているPTは3割に満たなかった。これは各医療機関の志向性に依る部分が大きく評価は難しいが今後より積極的に参画していく意思をPTが示していくことは重要であろう。同時に実務とチーム医療の活動に携わる時間配分などマンパワーの問題を含め包括的に考えていく必要があり、特に小規模なリハ部門の場合は活動の障壁となり得る可能性は高い。チーム医療の成否が多職種間の相互理解、連携に委ねられていることは言うまでもない。今回、多くのPTが自らの専門性がチーム医療の中で十分に生かされてはいないと考えており、その原因が不十分なコミュニケーションあることが浮き彫りになった。教育背景が異なる多職種がチームを編成し目標を達成していくためには良好なコミュニケーションを前提とした相互理解とマネジメント力を有したリーダーの存在が不可欠であるといえる。【理学療法学研究としての意義】多様な社会ニーズを受け今後チーム医療が進展し、それに伴いリハビリテーション提供の仕組みが変容してくことが予想される。現存するヒエラルキーを超え理学療法士がその専門性を十分に発揮していくためには知識や技術の研鑽は元より十分なコミュニケーション能力、更にはマネジメント力など多次元的な能力を備えることが求められるといえよう.
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© 2013 日本理学療法士協会
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