抄録
【はじめに】当院では、平成24年5月よりチーム医療の推進、医師・看護師との連携強化を図る目的で『病棟付けリハビリテーション』の取り組みを開始した。これまで、病床数740床に対して理学療法士(以下PT)10名・作業療法士(以下OT)5名・言語聴覚士(以下ST)7名でリハビリテーションを実施していたが、平成24年4月に増員によりPT20名・OT7名・ST13名となり、主要病棟毎にPT・OT・STでチームを構成し、病棟専任(一部兼任)として介入している。訓練室のみではなく病棟でのリハビリテーションに重点を置きながら、チームごとに目標設定を行い、取り組み開始から約3か月経過したところで、問題点を抽出し改善を図る目的で、アンケート調査を実施した。アンケート結果から見られた傾向・問題点と、各チームの取り組みを報告する。【方法】調査対象は、主要病棟である救命救急センター・心臓血管センター・呼吸器病棟・脳神経外科病棟・神経内科病棟・整形外科病棟の看護師とした。アンケートは選択方式、一部記述で実施した。質問項目は、『病棟付けリハビリテーション』の認知度・今後の継続について、情報共有、リスク管理、リハビリスタッフへの要望等、9項目を共通項目とし、心臓血管センター・整形外科病棟については個別の質問項目を追加して行った。【結果】対象者は249名で、回収率は91.6%であった。看護師全体における『病棟付けリハビリテーション』の認知度は87.4%であった。以前よりリハビリスタッフの介入頻度が高い脳神経外科・神経内科・整形外科病棟ではより認知度が高い傾向にあったが、救命救急センター・心臓血管センターではやや低い結果となった。病棟スタッフとの連携強化・情報共有を図るため、カンファレンスや回診への参加を開始したチームもあり、それにより情報共有を図ることができている、という回答は82.6%であった。しかし、病棟での処置・ケアとリハビリテーションの実施時間が重なってしまう場面についての質問では、重なることが多い、という回答が28.5%、やや多い、という回答が67.5%であった。リハビリスタッフが行っている行為でリスクを感じる行為については、ある・時々ある、との回答が24.6%であり、その内容は点滴・モニター・酸素などの管理、ポジショニングや抑制について、が主であった。また、勉強会の実施や、病棟で行えるリハビリテーションの指導などの要望も聞かれた。今後の『病棟付けリハビリテーション』の継続については、89.9%から継続したほうがよい、との回答が得られた。【考察】PT・OT・STがチームを構成し、病棟に比較的固定されたリハビリスタッフが介入することにより、看護師とのコミュニケーションが増加し、よりスムーズな情報交換が可能になっていると考えられる。また、訓練室のみではなく病棟でリハビリテーションを行う機会も増加したことで、病棟での患者の状況・リハビリ中の状況についても情報の共有を図ることが可能となっている。その結果、病棟でのADLに即したリハビリテーションを実施することが可能となり、より質の高いチーム医療の推進を図ることが可能になったと考えられる。勉強会の実施や病棟でのリハビリ指導について、看護師からリハビリスタッフへの要望も聞かれており、看護師のリハビリへの関心の高さもうかがえる結果となった。しかし、その反面で、病棟での処置・ケアとリハビリテーションの実施時間が重なってしまう場面も増加しており、各チームで対応を検討していくことが必要と思われる。また、ルート管理等に関するリスク管理の面で、看護師からの指摘もあり、看護師との連携に加えリハビリスタッフの教育についても検討が必要であると思われる。【まとめ】チーム医療の推進、医師・看護師との連携強化を図る目的で『病棟付けリハビリテーション』を開始し、病棟でのリハビリテーションに重点を置いた取り組みを開始した。アンケート調査から、看護師全体における『病棟付けリハビリテーション』の認知度は87.4%、継続希望は89.9%であり、病棟専任として比較的固定されたリハビリスタッフが介入することで看護師とのコミュニケーションが増加し、よりスムーズに情報の共有を図ることが可能になった、と考えられた。今後も、チーム医療の中で専門性を保ちながらも他職種から求められるリハビリテーションのあり方を検討していく必要があると思われる。