理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-O-14
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一般口述発表
肢体不自由児の体育・スポーツ活動の現状と課題
芝原 美由紀八並 光信一場 友実斉藤 利恵塩之谷 巧嘉
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抄録
【はじめに、目的】小中学校の子どものスポーツ活動は、学校体育や放課後の活動において広く行われている。しかし、肢体不自由児は身体的な負担や障害の増悪等のリスクを懸念し敬遠される傾向がある。そのため、スポーツ活動に種目や内容の検討やリスクなど懸念材料に対して具体的な支援が必要と考えられる。今回、肢体不自由児の体育とスポーツ活動の現状を調査し、活動支援の課題を検討した。【方法】対象は、調査内容に同意した東海・関東・甲信越の3地域の小学生中学生高校生の肢体不自由児の家族である。A県心身障害療育センターを利用している38名、N県地域活動している17名、K県障害者スポーツ文化センターを利用している12名の計67名である。調査時期は2012年2月から3月で、方法は質問紙法で、質問紙調査の内訳は、移動機能レベル(車椅子による全介助まで6段階)、体育参加の有無、参加種目、参加時の補装具と車椅子の使用、体育以外のスポーツ活動経験の有無とスポーツ参加に対する賛否である。スポーツ参加と対象児の基本情報の関連をSpearman 順位相関係数から、またスポーツ参加に対する賛否とスポーツ参加時の車椅子と補装具使用を Man-WhitneyのU検定で検討した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は杏林大学倫理審査委員会の承認の下、全ての対象児の家族に本研究の趣旨、内容、個人情報管理方法の説明を行い、書面にて調査参加の同意を得た。【結果】対象児の平均年齢は12.7±3.4歳で、診断名は脳性麻痺と脳原生運動障害52名、二分脊椎3名、進行性筋ジストロフィー症1名、脳外傷1名、染色体異常2名他8名で、男子36名女子31名であった。地域普通学校が16名、特別支援学級が9名、特別支援学校が42名で、小学生31名中学生21名高校生が15名であった。身体障害手帳は1級34名、2級19名、3級9名、なし5名であった。移動機能レベルは独歩25名(37.3%)で、杖歩行8名、歩行器歩行9名、車椅子(自走)が26名、車椅子介助が14名であった。(複数回答)補装具の使用は、50名(74.6%)と高率であった。体育の免除6名・不参加1名の計7名で、体育の参加60名(89.6%)中24名が全ての種目を行っていた。体育で車椅子使用は30名(44.8%)で補装具は44名(65.7%)が使用していた。スポーツ活動を現在しているのは24名(35.8%)で、今はしていないが以前活動していたのは14名(20.9%)であった。活動したことがない28名中18名は機会がなかったと回答した。スポーツ活動の有無は、運動機能レベルや年齢とは関連がなかった。スポーツ活動経験がある38名中20名(52.6%)が水泳をしており、また、定期的にスポーツ活動をしている28名(73.7%)は車椅子陸上やバスケット、チェアースキーや体操教室等で複数の種目をしていた。家族の49名(73.1%)がスポーツ活動に「参加させたい」と回答した。一方で、家族の37名(55.2%)がスポーツ活動は身体的負担や転倒・怪我等「心配がある」とした。スポーツ活動時の補装具の使用については、「スポーツ時でも使用が望ましい」「スポーツ種目に応じたものが必要」「分からない」の回答が多く、車椅子でのスポーツ参加は、「種目が分からない」「安全性が心配」の回答が多かった。【考察】今回の調査では、全ての対象児は医療的ケアがなく、移動に介助を要していたのは14名(20.9%)と軽症例が多かった。そのため、学校体育に車いすや補装具を使用し、ほぼ9割と大半が参加していた。しかし、学校外のスポーツ活動では7割以上の家族が参加させたいと回答したが、実際にスポーツ活動に参加しているのは24名(35.8%)と半数以下で少なかった。しかも、スポーツする機会がなかったと18名(26.9%)が回答している。他の調査と同様に、家族がスポーツ活動に対して、身体的負担や怪我等のリスク管理に不安があることが示唆された。今回の調査では、この不安は運動機能のレベルや年齢に関連はなかった。家族がスポーツ活動に参加させたいとの回答が多いことを考えると、スポーツ導入時に丁寧な支援が必要で、具体的には障害特性を考慮してスポーツ活動参加できるようにコンデジションを整える事や子どもが楽しむスポーツ種目の選択を配慮することが考えられる。また、定期的にスポーツ参加している28名中16名は、決まった場所で指導者(スポーツ指導・コーチ)のもとで活動していたことから、スポーツ活動の環境や指導者の存在も支援になると思われる。補装具や車椅子の使用は、スポーツ活動を安全に楽しむために十分な配慮が必要である。今回、家族がどのように使用するか、十分理解してない現状が確認された。スポーツ種目ごとの活動姿勢の設定と活動前後でのコンディション調整は支援内容として検討が必要である。【理学療法学研究としての意義】肢体不自由児のスポーツ活動に理学療法士が関わる事は必要で、社会的な役割の拡大からもその意義はある
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© 2013 日本理学療法士協会
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