理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-S-04
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セレクション口述発表
重度障害者支援施設入所者における身体機能・ADLと車いす機能との関連
水野 公輔山﨑 岳之平賀 よしみ古澤 英明福田 倫也
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キーワード: 車いす, ADL, 障害者支援施設
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抄録
【はじめに、目的】 車いすは、補装具の種目別公費負担割合をみると、義肢装具に次いで多く、26%を占める補装具である。補装具は、医師、理学療法士、作業療法士、補装具業者等との連携を図りながら、市町村が支給を行うものとされており、その処方、選定、適合等に理学療法士の専門的な知識・技術が必要とされる。しかし、これまでに、重度障害者支援施設入所者の車いす処方、選定、適合等に関する報告は皆無である。日本リハビリテーション工学協会では、車いすの選定にあたって、本人と介助者の能力を把握することが重要であるとしている。そこで本研究では、重度障害者支援施設入所者において、介助の視点から、身体機能やADLを調査し、車いす機能との関連を検討することを目的とした。【方法】 対象は、重度障害者支援施設に入所中の利用者146名のうち、定期的に理学療法を施行している車いす利用者67名であった(男性36名、女性31名、平均年齢56.0 ± 11.8歳、脳性麻痺17名、脳血管障害後遺症12名、頭部外傷後遺症6名、脊髄損傷4名、その他28名)。なお、調査内容は、施設内移動、ベッド移乗に関するADLと座位能力、車いすの種類(標準型車いす、リクライニング式車いす、ティルト式車いす、ティルトリクライニング式車いす)、および、車いす機能(足踏みブレーキの有無、キャリパーブレーキの有無、着脱式アームサポートの有無、着脱式フットサポートの有無、スイング式フットサポートの有無)とした。なお、車いすの機能は、本体の調整として多く対応するものを予め選択した。統計学的分析には,χ2検定、又はフィッシャーの直接確率を用い、統計処理は、 Rソフトウェア(2.14.2)、およびSPSS(10.0J for windows)を用いて確認した。なお、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、文部科学省・厚生労働省から通達された「疫学研究に関する倫理指針」の趣旨に沿い実施した。【結果】 施設内移動が介助であると、足踏みブレーキ(χ2 = 32.461, 自由度 = 1)、キャリパーブレーキ(χ2 = 14.357, 自由度 = 1)、着脱式アームサポート(χ2 = 25.243, 自由度 = 1)といった機能が多く選定されていることがわかった。ベッド移乗が介助であると、足踏みブレーキ(χ2 = 5.071, 自由度 = 1)、キャリパーブレーキ(χ2 = 4.167, 自由度 = 1)といった機能が多く選定されていることがわかった。また、簡易車いす座位能力分類で座位が不能であると、足踏みブレーキ(χ2 =14,476,自由度 = 2)、キャリパーブレーキ(χ2 = 7.634, 自由度 = 2)、着脱式アームサポート(χ2 = 11.334, 自由度 = 2)が多く選定されていることがわかった。なお、施設内移動や、ベッド移乗に関するADLや座位能力が、車いすの種類に関連することがわかった。一方、着脱式フットサポート、スイング式フットサポートの有無は、施設内移動、ベッド移乗に関するADLや座位能力との関連は認められなかった。【考察】 本研究により、施設内移動やベッド移乗が介助であり、座位が不能であると、足踏みブレーキ、キャリパーブレーキ、着脱式アームサポートが多く選定されていることがわかった。また、施設内移動、ベッド移乗に関するADLや座位能力が、車いすの種類に関連するものの、フットサポート機能の有無とは関連がないことがわかった。木之瀬らは、高齢者の車いす選定に際して、着脱式アームサポートや、スイング式フットサポート等の機能により、ベッド・トイレ移乗の自立が図れる場合があることや、移乗時の介護負担を軽減することができると報告している。ただし、重度障害者支援施設利用者においては、移動、移乗が介助で、座位が不能な例に際しては、リクライニング機能などの介助型車いすを選定するものの、ベッド移乗等は複数人による介助で持ち上げ方式を採るため、スイング式や着脱式のフットサポート機能は必ずしも必要とされていないと考えられた。平成25年4月より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が施行され、重度障害者の地域生活支援が整備されるとともに、社会保障費の削減が求められる。重度障害者の車いす選定に際しては、介助面や経済面の負担を軽減することも念頭に置きながら、身体機能やADLに適合した車いす機能を過不足なく選定することで、車いす乗車機会の増加や、寝かせきりの予防が図れるものと考える。【理学療法学研究としての意義】 重度障害者支援施設入所者の身体機能やADLと車いすの機能との関連を調査し、車いすの特徴が明らかとなった。本研究の結果が、重度障害者支援施設入所者における車いす支給の一助になるものと考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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