理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-08
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ポスター発表
早産児におけるNICU退院時の神経学的発達の特徴
澤田 優子本田 憲胤寺田 勝彦和田 紀久金尾 顕郎福田 寛二
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キーワード: 早産児, NICU, 神経学的発達
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抄録
【はじめに,目的】 周産期医療の進歩により新生児死亡率は低下している.同時に早産児,低出生体重児,先天的疾患をもつ新生児の出生が増加し,出生後,新生児治療室(Neonatal Intensive Care Unit:以下NICUと略す)で治療を経験する児は増加している. NICUにおける児への関わりとして,照明や機械音を調整するなどのディベロップメンタルケアを実施するとともに,障害に対するリハビリテーションおよび発達支援のためにリハビリテーション介入の必要性が認められ,多くの実施効果が報告されている.同時に,児へのかかわりは入院時のみならず,長期的な視点でのかかわりが必要とされる. 本研究は,NICU入院歴のある児への長期的な支援の一助とするため,NICU退院時の神経学的発達の特徴を明らかにすることを目的とする.【方法】 平成18年4月1日から平成24年8月31日の間にA病院NICUに入院し理学療法の対象となった児のうち,神経学的発達検査を実施した43名を対象とした.平均出生時体重は1073.4±334.2g,平均出生時の受胎後日数は201.2±15.0日(28週±15日)であった.調査項目は,出生時体重,出生時の受胎後日数,神経学的発達評価実施時の体重(以下測定時体重),神経学的発達評価実施時の受胎後日数(以下測定時受胎後日数),測定時の脳MRIにおける異常の有無(医師2名により診断),神経学的発達評価であった. 本研究においては神経学的発達評価として,Dubowitz神経学的評価を用いた.本指標は全34 項目よりなり,tone(10項目),tone patterns(5項目),reflexes(6項目),movements(3項目),abnormal signs(3項目),behavior(7項目)の6つのカテゴリーからなる.各項目で良好な反応であれば1点,未熟性や異常性の強い反応であれば0点となる(満点は34点).本指標は評価の信頼性,妥当性ともに検討されたものであり,非熟練者でも経時的な神経学的発達評価が可能であることから,多くの施設で用いられている.出生時体重,測定時体重,出生時の受胎後日数,測定時の受胎後日数,神経学的発達評価の得点の特徴を,MRI所見での異常の有無別比較(t検定),各項目の相関係数算出にて検討した.分析ソフトはIBM SPSS Statistics 20を用いた.【倫理的配慮,説明と同意】 対象者の保護者に対して,研究目的,研究方法及び倫理的配慮の説明を十分に行った.研究への参加は自由意志であり,いつでも中断できること.また個人情報は厳守し,データは研究以外では使用しないこと.また,研究を中止しても一切の不利益や提供される医療に支障が無いことを説明し同意を得た. 【結果】 MRIでの異常の有無により2群に分けた.出生時体重では,MRI異常なし群1153.4±334.7gに対して,異常あり群では888.8±259.2gと有意に低下していた(p<0.05).MRI異常なし群のMRI撮像時の受胎後日数は274.4±11.0日であったが,異常あり群では266.9±7.7日と有意に受胎後日数が短かかった(p<0.05). また,出生時体重,測定時体重,出生時の受胎後週数,測定時の受胎後週数,神経学的発達評価の相関係数を算出した.MRI異常なし群では,behaviorと出生時体重(相関係数0.427,p<0.05),toneと測定時体重(相関係数0.378 ,p<0.05),tone patternと測定時体重(相関係数0.449 ,p<0.05)に有意の相関が認められた.一方,MRI異常あり群では神経学的発達評価との有意な相関は認められなかった. 【考察】 MRI所見での異常のない児においては,神経学的発達と体重の間に正の相関が認められた.これは,正常な発育課程を反映していると思われるが,詳細は不明である.一方MRIにて異常が認められた児においては,このような相関が認められなかった.長期にわたる発達軌跡の追跡の必要性および介入の継続の必要性が示唆され,今後データの蓄積とともに追跡データも加えた多方面での分析および介入が課題である.【理学療法学研究としての意義】 NICUにおける理学療法実施においては個別性が高く,児の疾患,発達,児を取り巻く環境も様々である.本研究結果においてもNICU入院歴のある児を対象とした理学療法において入院時のかかわりにとどまらず退院後のフォローアップの必要性を示唆する結果となったという点で理学療法学研究としての意義があるといえる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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