理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-O-23
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一般口述発表
現在の計測基点表示に基づく転子果長計測の問題点とその改善策の提案
富永 敬三, 磯貝 香, 河上 敬介
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抄録
【はじめに、目的】近年、医療保険制度の改正や介護保険法の施行により、1 人の患者が複数の医療施設等で理学療法を受ける機会が増えてきた。これに伴い、理学療法における検査の再現性がますます重要視されている。しかし、検査項目のひとつである転子果長計測では、その計測の基点が「大転子」・「外果」とされているだけで、それぞれの隆起のどの部位を計測基点とするのかについては検査者の判断に委ねられている。そこで、我々は先行研究として、40 人の理学療法士(PT)を対象に、転子果長計測を行う際に用いている計測基点についてのアンケート調査を行った。その結果、大転子は3 部位(上端・外側端・下端)、外果は2 部位(外側端・下端)に大別され、その組合せはこれらを掛け合わせた6 通りに及んでいた。そこで今回は、計測基点の組合せが異なることによる、転子果長計測結果への影響を明らかにすることとした。【方法】計測基点の組合せが異なることにより転子果長の計測結果に差が生じるのか(調査A)、また、いくつかの計測基点の組合せの中から検査者間で最も再現性が高く転子果長計測が実現できる組合せはどれなのか(調査B)について調査を行った。調査Aの方法:検査者は、臨床経験年数2 年以上のPT 25 人とした。被検査者は、普通体重(BMI 24.4 kg/m2)の男性1 人とした。検査者は、被検査者の右側下肢に対して、アンケートで得られた大転子3 部位と外果2 部位を掛け合わせた6 通りの組合せで転子果長計測を行った。統計処理として、計測基点の組合せによる転子果長計測結果の平均値を算出した。また、それらの平均値間の比較には一元配置分散分析を用い、有意水準を5 %とした。有意差を認めた場合は多重比較検定にTukey - Kramer法を適応し、有意水準を5 %とした。調査Bの方法:検査者は、臨床経験年数3 年以上のPT 4 人とした。被検査者は、普通体重(BMI:18.5 〜24.9)の健常男性10 人、肥満体重(BMI:25.0 〜)の健常男性10 人とした。検査者は、被検査者の片側下肢に対して、アンケートで得られた大転子3 部位と外果2 部位を掛け合わせた6 通りの組合せで転子果長計測を行った。この手順を4 人の検査者全員に20 人の被検査者全員に対して行わせた。これにより、検者間再現性を検証する級内相関係数(ICC(2.1))と標準誤差を算出した。ICC(2.1)の結果は、桑原の分類に基づき解釈した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、研究代表者が所属する2 つの研究教育機関の倫理委員会の承認を受けて実施した。特に、個人情報の保護や調査による人体への影響等の研究内容に関しての説明は、対象者へ書面及び口頭にて十分に行い、同意を得た上で実施した。【結果】調査Aの結果:転子果長計測結果が最大であったのは大転子の上端と外果の下端との組合せであった(80.1 ± 2.1 cm)。また、転子果長計測結果が最小であったのは大転子の下端と外果の外側端との組合せであった(75.1 ± 2.0 cm)。両者の差は約5.0 cmにも及んでいた。また、多くの計測基点の組合せ間において有意な違いがみられた。調査Bの結果:転子果長計測結果の再現性は、被検査者が普通体重の場合、全ての組合せにおいて “優秀” であった。被検査者が肥満体重の場合、大転子の上端と外果の外側端の組合せのみで “優秀” 、それ以外の組合せは “良好” であった。【考察】調査Aにより、計測基点が異なると転子果長の計測結果に差が生じる場合のあることが判明した。これは、再現性のある転子果長計測が行われていない現状を示すものである。また、調査Bにより、被検査者が普通体重または肥満体重の時、どの計測基点の組合せにおいても、 “良好” から “優秀” の範囲で転子果長計測が再現できることが判明した。この2 つの調査から、再現性のある転子果長計測を実現するためには、計測基点をどれか1 つの組合せに限定する必要のあることが明らかとなった。また、被検査者が肥満体重の場合、大転子の上端と外果の外側端を選択すると、最も再現性の高い転子果長計測が実現できることが明らかとなった。よって、もし再現性の高さを重要視して転子果長計測の計測基点を決めるのであれば、大転子の上端と外果の外側端の組合せが妥当であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】再現性のある転子果長計測が行われていない現状を顕在化し、この問題を解決する一方法を示すことができた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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