理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-P-10
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ポスター発表
呼吸困難の少ないGOLD病期分類早期COPD患者の身体機能、身体能力、ADL能力、QOLの特性についての検証
早期呼吸リハビリテーション導入は必要か?
今泉 潤紀白仁田 秀一堀江 淳八谷 瑞紀渡辺 尚林 真一郎
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抄録
【はじめに、目的】 2011年GOLDよりCOPDの総合的評価方法が発表され、呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の導入推奨レベルは、GOLD病期分類が3以上もしくはmMRCスケール2以上からとされている。しかし、COPD患者において体重は生命予後にも関わる重要な因子であり、70%以上に低体重が頻発することが報告されている。呼吸リハ導入の重要なファクターになる項目であると考えられる。本研究の目的は、病期が2以下かつmMRCスケール1以下のCOPD患者を対象に%標準体重(%IBW)で分類し、身体機能、身体能力、ADL能力、QOLを比較、検証すること。更に、早期からの呼吸リハ導入の必要性の有無について言及することとした。【方法】 対象は、COPD患者51名(男性45名、女性6名、平均年齢71.7±10.0歳、%IBW:101.1±17.5%)で、呼吸機能検査は、FEV1.01851.9±506.9ml、%FEV1.073.8±15.3%、FEV1.0%66.1±11.5%でGOLD病気分類は1期12名、2期39名でmMRCはGrade0 12名、Grade1 39名であった。研究方法は、%IBWで低体重群(90%未満)、低体重傾向群(90~99%)、体重正常群(100%以上)の3群に分けて検討した。3群で比較する評価項目は、最大呼気口腔内圧(MEP)、最大吸気口腔内圧(MIP)、握力、膝伸展筋力、体重支持力指数(WBI)、6分間歩行距離テスト(6MWT)、Incremental Shuttle Waking Test(ISWT)、長崎大学式ADLテスト(NRADL)、The st.Georges、s Respiratory Questionnaire(SGRQ)とした。統計学的解析は、各%IBW別に各評価項目の平均値の比較を1元配置の分散分析で行い、その後の検定をTukeyの方法を用いて分析した。なお、帰無仮説の棄却域は有意水準5%とし、解析ソフトはSPSS version19.0を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 研究は、ヘルシンキ宣言に沿った研究として実施した。対象への説明と同意は、研究の概要を口頭及び文章にて説明後、研究内容を理解し、研究参加の同意が得られた場合、書面にて自筆署名で同意を得た。その際参加は任意であり、測定に同意しなくても何ら不利益を受けないこと、また同意後も常時同意を撤回できること、撤回後も何ら不利益を受けることがないことを説明した。【結果】 3群の分類は、低体重群13例、低体重傾向群9例、正常群29例であった。結果は低体重群、低体重傾向群、正常群の順に記載した。MEPは62.8±14.1、91.2±29.9、98.1±35.8と低体重群が正常群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。握力は25.1±8.4、28.4±8.2、33.6±10.0と低体重群が正常群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。膝伸展筋力は23.1±6.0、27.4±7.6、36.4±11.8と低体重群が正常群と比較して有意に低値を示した(p<0.001)。 MIPは52.3±22.6、63.6±22.6、80.5±33.6(p=ns)、WBIは0.52±0.10、0.51±0.13、0.53±0.17(p=ns)、6MWTは444.0±74.3、438.1±103.3、485.7±90.9(p=ns) 、ISWTは413.3±154.6、450.8±106.0、523.9±201.4(p=ns)、NADLは91.1±10.4、92.3±11.0、91.6±11.4 (p=ns)、SGRQは33.2±14.4、33.6±15.6、22.9±14.2(p=ns)と有意差は認められなかった。【考察】 病期が早期かつ症状が少ないCOPD患者においても低体重群は25%存在していた。 低体重群と正常群とを比較した結果、MEP、握力、膝伸展筋力は有意に低下、また、MIP、6MWT、ISWT、SGRQでは低下傾向にあることが認められた。この段階では、体重の因子はCOPD患者の日常生活に支障をきたすレベルではないが、低体重群では運動耐容能、QOLなど日常生活までに反映しないところで支障をきたし始めていることが考えられる。今後、様々な要因によりさらに低体重をきたすことが予測される。病期の進行、症状悪化、身体能力等の低下は呼吸リハプログラムの遂行レベルを下げざるをえなくなり、呼吸リハの効果は減少することが予測される。そのため、早期かつ症状が少なく特に低体重をきたしているCOPD患者に対して、この時期より栄養指導等を含めた包括的な呼吸リハ導入が必要であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 早期かつ症状が少ないCOPD患者において、低体重は身体機能や身体能力等に影響していることを客観的に示した研究である。低体重で早期かつ症状が少ないCOPD患者に対しても呼吸理学療法の導入を求められる研究となった。
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© 2013 日本理学療法士協会
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