理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-12
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ポスター発表
病棟内歩行自立判定基準における日中と朝方の比較検討
~当院回復期リハ病棟を対象とした研究~
多田 明紗美
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抄録
【目的】 回復期とは機能・能力向上がみられる時期であり活動性が高まる時期であるが、同時に転倒リスクが高まる時期でもある。 当院回復期リハ病棟にも同様の傾向があり、転倒件数の約半数が歩行・立ち上がり時である。患者・家族の希望である機能・能力を向上させ安心・安全に在宅退院を目指す為にも我々は、病棟内ADLの拡大を図りリハ以外の時間を使い活動性の向上、多くの歩行機会の獲得を図る事が必要であると考えている。 転倒は朝・夕方のゴールデンタイムに多く発生すると報告されている。その為今回は、平成23年12月~平成24年5月の約6ヶ月間に当病棟入院中の歩行自立患者を対象に歩行自立判定基準項目を日中・朝方の2回に分け実施し比較・検討した。【方法】 対象は、平成23年12月~平成24年5月に当病棟入院中の重度な高次脳機能障害や認知障害を除いた、脳血管障害患者13名(男6名、女7名)と整形外科疾患患者17名(男6名、女11名)の合計30名で、平均年齢71歳(29~87歳)である。 評価項目は、病棟で実際に歩行自立度判定基準として用いているBBS・TUGTの2項目を使用した。棟内の伝い歩き・サークル歩行者は除き、その他の歩行補助具の規定はしない。 比較・検討方法は、病棟規定であるBBS45点以上、TUGT30秒以内を棟内歩行自立のカットオフ値とし、これを達成した自立者に朝方も同様の検査を行い、日中と朝方の結果を比較した。評価時期は、日中のリハ時間(午前または午後)と日中評価後2~3日以内の早出介入時間帯である7時の2回に分けた。 TUGTは全体・疾患別(脳血管疾患・整形外科疾患)群に分けT検定を用い、BBSは合計点と下位項目別にTUGT同様2群に区分し、Wilcoxonの符号付順位検定を用いた(p<0.05)。【説明と同意】 対象者に対し、本研究の趣旨を口頭にてインフォームド・コンセントし同意を得た。【結果】 評価期間中の対象者による自立歩行中の転倒は0件であった。 TUGTの全体群と疾患別群、BBS合計の全体群には日中と朝方で有意差は認めなかった。しかし、BBS下位項目による患者全体群では、リーチ動作(0.020)・タンデム肢位(0.010)の結果に有意差を認めた。BBS下位項目による疾患別群区分では、脳血管疾患でタンデム肢位(0.038)、整形外科疾患ではリーチ動作(0.046)・360°回転(0.040)・タンデム肢位(0.013)に有意差を認めた。【考察】 今回の分析結果から、TUGTは日中と朝方に差はないと考えられる。 しかし、BBS下位項目では、主に後脚支持を伴うバランス肢位を中心とするリーチ動作・360°回転・タンデム肢位項目に有意差を認めた。高齢者は、若年者と比較した研究のなかでも、横方向より前後方向で加齢の影響を受けやすく、若年者を100とすると高齢者の前方向への傾斜限界値は76%、後方へは52%といわれている。そのためか、高齢者は両足均等に体重を掛けるよう指導しても後脚の荷重率が大きい傾向にある。さらに、歩行能力に影響するバランス能力の低下は、脚筋の低下、歩行能力の低下、後方への歩行巧緻性の低下、および大腿筋量の減少に関係があるといわれている。 また、転倒は注意力が欠けるといわれる早朝や午前中に多い傾向である事が報告されている。今回のように日中・朝方の比較は1日を通しての歩行自立を判断する上で必要であると考えられる。 今後病棟では、歩行自立判定基準を日中1回のTUGTと日中・朝方2回のBBSの結果とし、全ての評価結果でカットオフ値を満たした場合を主に病棟内歩行自立とする。例外で、上記基準を満たさなかった患者やBBSの合計点は満たしているが、リーチ動作・360°回転・タンデム肢位において0~2点と低い場合には、多職種と相談の上、自立あるいは条件付(時間帯・経路など)自立にする等検討していく。 今後も歩行自立判定基準を活用し、活動性の向上やADLの拡大を図りながら転倒を減少させ早期の在宅退院へ繋げていきたいと考えている。【理学療法学研究としての意義】 患者の活動性向上がみられる時期に転倒が発生しやすい現状を緩和する為に、病棟内歩行自立判定基準を作成したが、転倒が多いといわれるゴールデンタイムにあまり目を向けていなかった。今回、日中と朝方の2回に分け評価・検証した事で患者の身体機能・能力面に日差を認める事がデータ上証明され、セラピストとして患者の能力を改めて見直す機会を設ける事が出来たと考えている。さらに、この評価結果をもとに病棟内スタッフと密な連携をとる事で早期の歩行獲得、ADLの拡大に積極的に取り組む事が出来るようになったと考えている。今回の検証により、歩行患者の転倒軽減を図る事、積極的なADL拡大を図る事に有用な指標として活用できるものが完成したと考えている。
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© 2013 日本理学療法士協会
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