理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-O-08
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一般口述発表
ロボット(Wearable Power-Assist Locomotor:WPAL)による対麻痺者の歩行再建
小型歩行器の開発
松田 佳恵加藤 正樹平野 哲田辺 茂雄中根 純一山田 真由宇野 秋人武満 和彦清水 康裕才藤 栄一
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キーワード: 脊髄損傷, ロボット, 歩行
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抄録
【はじめに、目的】 一般に, 脊髄損傷対麻痺者の歩行再建にはPrimewalkやRGO等による装具療法が行われている. しかし装具自体に力源を持たないため, 車椅子からの起立・着座困難, 歩行時の上肢への負担が大きい等, 実生活への使用には限界があり, 日常生活の使用に至る例は少ない. そこで我々は完全対麻痺者に対する歩行補助ロボット(Wearable Power-Assist Locomotor:以下WPAL)を開発し, 対麻痺者に対する実用化歩行獲得を目指し歩行再建を行っている. 現在, 練習室での実証試験では安定した歩行は獲得できたが, 今後一般家庭への導入を進めるため, 標準的な日本家屋の廊下幅に合わせて歩行器を小型化する必要があった. 今回, 従来型歩行器と新しく開発した小型歩行器を使用し, WPAL歩行を比較, 検討したので報告する.【方法】 対象は3名の対麻痺者であり, 内訳は男性2名, 女性1名, 年齢30~59歳, 全例日常車椅子を使用しているものとした. 残存髄節レベルはT12:2名, T6:1名, ASIA A:2名, C:1名, 受傷後期間は4~15年であった. 各被験者は従来型歩行器と小型歩行器を使用し, WPAL装着下にて歩行を実施, 両歩行の主観的意見を確認した. 歩行器は従来型:幅680mm, 奥行き600mm, 重量約10kg(重量にはバッテリ,コントローラを含む), 小型:幅590mm, 奥行き480mm, 重量約7kgであり, 高さは各被験者の身長に合わせて使用した. また男性1名(T12, ASIA:C)において90秒間の平地歩行を行い, 心拍数, 自覚的運動強度(修正Borg指数), 歩行距離を計算し, 得られた結果から生理的コスト指数(PCI:physiological cost index)を算出した. 同時にマルチテレメーターシステムWEB5000(日本光電株式会社)を使用し, サンプリング周波数1.8kHzで上肢表面筋電図(上腕二頭筋, 上腕三頭筋)も測定した. さらに, 各歩行を3次元動作解析装置KinemaTracer(キッセイコムテック社)を使用し, サンプリング周波数60Hzで20秒間, 6台のCCDカメラにて計測した. 両歩行は同日に行い, 各歩行間は十分な休息をとって施行, WPALの歩行パラメータは従来型, 小型共に同じ値に設定した.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の実施手順及び内容はヘルシンキ宣言に則っており, 倫理委員会の承諾を得た後に実験を開始した. 対象者には研究者が口頭及び説明書を使用して研究目的, 方法, 意義, 危険性, 利益や不利益, プライバシー管理についての説明の上, 同意を得た後, 同意書にサインをいただいた.【結果】 3被験者とも従来型, 小型の両歩行器にて同自立度での歩行は可能であり, 主観的にも従来型から小型への移行は可能であるとの意見であった. 90秒間の平地歩行では, 自覚的運動強度は両条件とも修正Borg指数で0.5(非常に楽である)のまま変化はなかった. 心拍数, PCIは90秒時点において, 従来型では心拍数92拍/分(歩行開始時77拍/分), PCI 1.9拍/m, 小型心拍数92拍/分(歩行開始時78拍/分), PCI 2.0拍/mと有意差は認められなかった. 上肢の表面筋電図は90秒間の積分筋電図を比較した結果大きな差は認められなかった. 3次元動作解析にて重心移動幅を計算したところ, 従来型では上下平均2.7±0.7cm, 左右平均13.5±0.4cm, 小型では上下平均2.3±0.8cm, 左右平均13.4±1.8cmであり, 上下, 左右とも有意差は認められなかった.【考察】 今回の検証では, 主観的な意見や自立度には両歩行で変化は認められなかった. また,心拍数やPCI, 自覚的運動強度, 積分筋電図, 重心移動幅では有意差が認められなかった. 従って, 歩行器の大きさによる歩行自立度, 心肺機能及び上肢負荷量増加等の影響はなかったため, 小型化は可能であると考えられる. 今後は家庭での使用, 段差への対応を考えながら検証を進めていく. 【理学療法学研究としての意義】 脊髄損傷対麻痺者にとって車椅子は唯一の実用的移動手段であった. 長期間の車椅子生活は様々な医学的問題の原因となるだけでなく, 健常者より低い目線での生活が大きなストレスになる. 歩行器の小型化によりWPALでの歩行が自宅へ導入可能となり, 対麻痺者へ移動手段の選択肢を提供することに繋がる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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