理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-P-01
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ポスター発表
老化促進マウスの加齢に伴うPCG-1 α発現の変化
坂 ゆかり
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キーワード: PGC-1 α, 加齢, 骨格筋
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抄録
【はじめに、目的】サルコペニア(加齢性筋肉減弱症)は加齢に伴う筋萎縮,筋力や筋持久力などの機能低下を特徴とし,高齢者の身体活動を制限し,生活の質(Quality of life)の低下を招く.サルコペニアへの対策を考える上で,その発生メカニズムを解明することは不可欠であるが、未だ十分には解明されてない.peroxisome proliferator −activated receptor γ coactivator −1 α(PGC−1 α) は,筋萎縮を抑制する働きや(Sndri, et al., 2006)、ミトコンドリアの生合成および活性化にも関与しているとの報告がされている(Wu, ,et al., 1999).サルコペニアには加齢によるこのPGC−1 αの発現の変化が影響している可能性が考えられる.そこで本研究では,加齢によりヒトと同様に骨格筋でtypeⅡ線維の萎縮が見られるとの報告がある老化促進マウス(senescence-acceleratedmouse: SAM)を用い,PGC −1 α発現の加齢による変化を明らかにすることを目的とした。【方法】実験には,24 週齢の老化促進マウスである雄性SAMP8 マウス(体重28-32 g)と,60 週齢の同マウス(体重29-42 g)を各6 匹用いた.麻酔下で両側のヒラメ筋を採取し,筋湿重量を測定した後,液体窒素で急速凍結し、生化学的解析を行うまでディープフリーザーにて-80℃で保存した.得られた筋サンプルについて,生化学的解析としてWestern blottingを行い、PGC-1 α抗体とβ actinの各タンパク質の発現を解析した.統計解析は、PASW Statistics 18 (SPSS社) を用い,ヒラメ筋におけるSAMP8 の24 週齢群と60 週齢群での各タンパク質の発現について分析を行った.分析には対応のないT検定を用い,すべての分析において有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究は,広島国際大学が定める動物実験規定に基づき,広島国際大学動物実験委員会の審査・承認を経て実施された.【結果】24 週齢と60 週齢のSAMP8 マウスのヒラメ筋において、60 週齢が24 週齢に比べ有意にPGC-1 αの発現が少なかった.筋湿重量は24 週齢と60 週齢間で有意な違いは認められなかった.【考察】本研究の結果、PGC−1 α発現はヒラメ筋で加齢により有意に発現が減少することが明らかとなった.このことから、PGC−1 α発現の変化がサルコペニアに影響する可能性が示唆された.一方、SAMP8 マウスは60 週齢で20 週齢に比べヒラメ筋の筋湿重量が有意に少ないとの報告がされている(Wim, et al., 2005).しかし、本研究では24 週齢と60 週齢では筋湿重量比に有意な差は認められなかった.そのため、PGC−1 α発現の加齢による変化とサルコペニアにおける筋萎縮との関係は、今後さらに検討する必要がある.また、加齢によるPGC−1 αの減少が、筋萎縮のほかにサルコペニアの特徴とされる筋力や筋持久力などの機能低下に与える影響を検討することで、PGC−1 αとサルコペニアとの関係を明らかにできると考える.【理学療法学研究としての意義】本研究により、PGC−1 α発現はヒラメ筋で加齢により有意に発現が減少することが明らかとなった.サルコペニアは高齢化社会において理学療法が取り組むべき大きな課題であり、本研究はPGC−1 αのサルコペニアに対する関与を検討する上での基礎的な情報を与えると考える.
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© 2013 日本理学療法士協会
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