理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-23
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ポスター発表
筋萎縮性側索硬化症患者における最大強制吸気量(Maximum insufflation capacity:MIC)トレーニングの適応と有用性について
寄本 恵輔浅川 孝司前野 崇森 まどか小林 庸子村田 美穂有明 陽佑小川 順也立石 貴之丸山 昭彦
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抄録
【はじめに、目的】 本研究の目的は、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)患者の呼吸理学療法として、最大強制吸気量(Maximum Insufflation Capacity:MIC)トレーニングの適応とその有用性について検討することにある。【方法】 当院に入院し、呼吸理学療法を実施したALS患者8名を対象とした。年齢59±11.3歳(男性5名、女性3名)。ALSFRS-R:32.8 ± 6.4 (44-22)点、発症経過年数2.4 ± 1.6 (0.9-5.9)年、%予測肺活量58.6 ± 19.2 (29.1-80.1)%であった。本研究のMICとして、セラピストがバックバルブマスクを用い、気道内圧が60cmH2Oを保つまで3-5回吸気し、その後、患者がair stackingし、一気に呼出する方法とした。MICの適応を判定には、肺活量(volume capacity:VC)より10%以上の増加があり、かつ患者自身がMICを継続できるか否かを判定させた。検討項目としては、発症期間、病型(初発部位)、MIC実施時の自覚的困難感を視覚的アナログスケール(Visual analogue scale:VAS)を用いて評価し、ALSFRS-Rにおける発話・嚥下・唾液機能の4段階別、嚥下造影検査(Videofluorgraptic examination:VF検査)について調査した。また、MICの適応があると判断した症例については、MICの有用性を検討するため、実施前、実施、実施後について、 VC)、咳の最大流量(Cough Peak Flow : CPF)を各5回ずつ測定し、統計学的に有意差の有無があるか検討(パラメトリック、対応のあるT検定)した。また、長期継続的に測定が可能であった2症例について経過を述べる。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は当院規定の倫理委員会で承認得て、患者には口頭及び文章で説明し、同意をもって行った。【結果】 MICは、VASで5点以下、ALSFRS-R:発話・嚥下・唾液が3点以上、VF検査で誤嚥がない非球麻痺型のALS症例に適応があった。MICが有効な症例は実施前と比較し、実施中のみならず実施直後も有意にVC、CPFが増加した(p<0.05)。また、継続測定が可能であった2症例ともに経時的にVCは低下していくが、MICは維持され、CPFにおいては維持・拡大が可能であった。【考察】 本研究から、球麻痺症状のないALS患者においてMICトレーニングは肺コンプライアンスや胸郭の可動性を維持、改善する有効な呼吸理学療法であることが示唆された。今後、さらに多くの症例で検討し、MICトレーニングの有用性示せることを期待している。【理学療法学研究としての意義】ALSの呼吸理学療法の有用性を示すことは困難である中、MICという方法で胸郭mobilityを維持していくことによりVCが低下していても胸郭可動性を維持・改善することが示唆された。このことは発症早期のALSの呼吸理学療法において新たな呼吸理学療法の一つになる可能性が考えられた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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