理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-21
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ポスター発表
短下肢装具使用者における装具使用満足度と装具使用による心理面への効果について
高橋 悠山路 雄彦中島 明子七五三木 好晴
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抄録
【はじめに、目的】現在,義肢に対する満足度調査やQuality of life(以下,QOL)に関する評価は多く報告されているものの,装具に対する報告は少ない.加えて,心理面での効果を測定する尺度は,装具では開発されていない.そこで,今回は福祉用具での心理的利用効果を測定するために開発されたPsychosocial Impact of Assistive Devices Scale(以下,PIADS)と使用満足度を測定するために開発されたQuebec User Evaluation of Satisfaction with assistive Technology 2.0(以下,QUEST2.0)を使用し,身体的効果に加え,心理面にどのような影響を及ぼすのかを評価し,多角的に装具の有用性を評価・分析することを考えた.そして,医療者が関わることで使用者の装具使用満足度・心理的効果の向上につなげられるよう,その影響要因を検討することを目的に調査を行った.【方法】対象者は,外来リハビリテーションもしくは通所リハビリテーション(以下,通所リハビリ)を受けている短下肢装具使用者22名であった.方法は前橋協立病院と付属する通所リハビリ施設の協力を得て,快適歩行での歩行テスト・Timed Up and Go(以下,TUG)テストを行った.加えて,使用満足度にQUEST2.0(1~5の5段階評価,装具項目とサービス項目の満足度に関する質問数12項目),心理効果にPIADS(-3~+3の7段階評価で効力感・積極的適応性・自尊感の3つのサブスケールからなる質問数26項目)を用いて,対象者との対面調査で行った.その他,個人特性として,自宅での使用状況や装具の種類,歩行自立度,転倒歴などを調査した.統計学的分析には,Mann-WhitneyのU検定を用い,有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】今回の研究にあたり,前橋協立病院倫理委員会の承認を得,加えて患者様にはその旨を十分に説明し,書面上において同意を得ている.【結果】対象者の個人特性として,疾患は脳血管障害20名・脊椎疾患2名,平均年齢は67.9±9.7歳(50歳~86歳),平均装具使用年数は4.0±3.1年(1年~10年)であった.短下肢装具使用者22名のうち,SHBが9名・Short-SHBが3名・ joint付きAFOが2名・オルトップが8名であった.身体機能評価として行った,快適歩行での歩行テストでは,歩行速度・重複歩距離,TUGテストにおいて,装具の装着により有意な改善が見られた. PIADSでは,効力感サブスケールの平均得点が0.93±0.65,積極的適応性サブスケールの平均得点が0.89±0.61,自尊感サブスケールの平均得点が0.53±0.65となった.QUEST2.0では,下肢装具の満足度に関する設問の平均得点は3.72±0.44,サービスの満足度に関する設問の平均得点は3.44±0.83となった.また,QUEST2.0でのサービスに関する設問の『修理サービス』と『継続的なアフターサービス』の2項目は,4人に1人以上の割合(22名中6名)で「満足していない」を示す尺度を選択しており,他の項目と比べ,「満足していない」を選択した割合が高くなっていた.【考察】今回,装具使用効果を測定するために身体機能と心理面での評価を行い,歩行テスト・TUGテストから身体機能面で有意な差が見られた.また,心理面での評価を行うために,理学療法士が使用したことのない定量的な効果評価として,装具使用による心理的利用効果の評価にPIADSを,装具の使用満足度の評価にQUEST2.0を用いた.QUEST2.0における『修理サービス』と『継続的なアフターサービス』の2項目は,他の項目と比べ,「満足していない」を選択した割合が高くなっていた.また,今回は,通所リハビリ施設で測定を行った対象者が多くいた.人によっては他病院に入院中,下肢装具を作成しており,退院後において,「業者への連絡の仕方が分からずそのまま使っている,誰に見てもらえばよいのか分からない」との回答が計3人見られた.病院や関連する介護施設に定期的に通っている使用者では,アフターサービスを受けられると考えられるが,医療・介護サービスを使用せず,在宅に復帰した使用者や,理学療法士が関わらない介護施設や介護サービスを受けている使用者は,アフターサービスを受けにくい環境にいることが想定される.継続的なアフターサービスを受ける機会を持つことは,使用満足度向上という面だけでなく,安全に使用を継続するという面においても重要な要素になり得ると考える.【理学療法学研究としての意義】本研究では,短下肢装具を使用することで,身体的効果に加えて,心理面にどのような影響を及ぼすのかを調査し,多角的に装具の有用性を評価することで,今後の短下肢装具における対費用効果分析の一助になると考える.加えて,その効果を理解し,理学療法士が装具の処方に関わることで,使用者の装具使用満足度・心理的効果の向上につなげられると考える.
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© 2013 日本理学療法士協会
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