理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-24
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ポスター発表
変形性膝関節症罹患者の疼痛軽減効果に影響を及ぼす運動療法プログラムの要因は何か?
ランダム化比較試験のメタ回帰分析
南有田 くるみ田中 亮木藤 伸宏小澤 淳也
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抄録
【はじめに】疼痛は変形性膝関節症(膝OA)の主症状であり,多くの罹患者を悩ませる問題の一つである.筋力増強運動や有酸素運動といった運動療法は,膝OAの疼痛を改善させる治療法として推奨されている.しかしながら,運動療法のどういった要素が疼痛軽減効果に影響を及ぼすかは不明のままである.また,運動の頻度や期間が効果に及ぼす影響も十分に明らかにされていない.これらの疑問を解明することは,より効果的な運動療法プログラムの質や量を検討するのに役立つ.本研究の目的は,膝OA罹患者の疼痛軽減効果に影響を及ぼす運動療法プログラムの要因を明らかにすることである.【方法】本研究のデザインは,ランダム化比較試験のメタアナリシスおよびメタ回帰分析とした.論文の適格基準は,膝OA罹患者が対象に含まれている,運動もしくは運動療法が介入として実施されている,対照群は無介入あるいは教育的介入のみ実施されている,アウトカムとして疼痛が含まれている,研究デザインはランダム化比較試験(RCT)である,とした.測定バイアスの影響を減らすために,VASもしくはWOMAC以外の測定尺度を使用しているRCTは除外した.文献検索には,5つの電子データベースを使用した.適格基準に合致した論文に記載されている統計量から標準化平均差を算出した.従属変数を疼痛の標準化平均差とした単変量のメタ回帰分析を実施した.独立変数として「非荷重位筋力増強運動の有無」「荷重位筋力増強運動の有無」「有酸素運動の有無」「運動頻度」「運動期間」を投入し,運動の有無は有を1,無を0とした.また,運動療法プログラム以外の要因として,「対照群の介入の有無」「測定尺度」「RCTのrisk of bias」も独立変数として投入し,測定尺度は,VASを0,WOMACを1とした.RCTのrisk of biasは,PEDroスケールを用いて評価した.メタ回帰分析にて有意性が認められた要因については,疼痛軽減効果の説明因子として運動療法プログラム以外の要因から独立しているか検討するために,χ²検定およびMann-WhitneyのU検定を実施した.すべての統計解析の有意水準は5%とした.【結果】検索の結果,707編の論文が抽出された.そのうち,適格基準に合致した22編(運動群 = 32群)のRCTに対してデータの統合およびメタ回帰分析を実施した.32群のうち,非荷重位筋力増強運動を含んでいた運動群は20群であり,荷重位筋力増強運動,有酸素運動が実施された運動群は,それぞれ13群ずつであったが,いずれの運動も含まなかった運動群は3群あった.運動頻度および運動期間の中央値は,それぞれ3回/週,9週であった.メタ回帰分析の結果,疼痛に影響を及ぼしていた運動療法プログラムの要因は,「荷重位筋力増強運動の有無」(回帰係数=-0.32, p<0.01),「運動期間」(回帰係数=-0.01, p<0.01)であり,運動療法プログラム以外の要因はすべて有意な影響を及ぼしていた.χ²検定およびMann-WhitneyのU検定の結果,「荷重位筋力増強運動の有無」と「運動期間」は相互に関連しておらず,さらに運動療法プログラム以外の要因とも有意に関連していなかったことから,独立して疼痛軽減効果に影響を及ぼしていた.【考察】運動療法による疼痛軽減効果は,運動療法プログラムに荷重位筋力増強運動を含めないほうが大きいことが明らかにされた.田中らは第47回本学術集会において,膝OAの疼痛に対する運動介入の短期的効果は非荷重位筋力増強運動が荷重位筋力増強運動よりも高かったことを報告している.Baliunas et al.(2002)は膝への過剰な負荷を伴う運動により,患者の症状,こわばり,炎症が悪化したと報告している.これらの知見をふまえると,荷重という要素は運動療法による疼痛軽減効果にネガティブな影響を及ぼすと考えられる.また,介入開始初期ほど疼痛軽減の効果は有意に大きいことも明らかにされた.過去のシステマティックレビューによると,治療回数が12回未満よりも12回以上のほうが効果は大きいが(Fransen and McConell,2009),6ヶ月を超えると効果のエビデンスは乏しくなる(Pisters et al., 2007).以上の知見を考慮すると,運動頻度を週3回にした場合,運動療法による疼痛軽減効果は,介入開始4週目以降の早い時期にピークを迎え,その後は小さくなるものの,少なくとも6ヶ月まで期待できると考えられる.【理学療法学研究としての意義】膝OAの疼痛軽減効果に影響を及ぼす運動療法の要素や,より大きな効果が得られる運動療法の時期を明らかにした.
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© 2013 日本理学療法士協会
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