理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-24
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ポスター発表
変形性膝関節症患者の痛みの機能的尺度と心理的因子の関連
-JCOMとPCSを用いた検討-
比嘉 俊文島袋 雄樹大嶺 啓
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キーワード: 痛み, 機能評価, 心理評価
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抄録
【はじめに】変形性膝関節症(以下、膝OA)の危険因子として、年齢、性差、筋力低下、肥満などいくつか報告されているが、その機能面のみで帰結に至るのは不十分である。近年、疼痛と心理的因子の関連性の報告が増えてきており、Cookらは痛みに対する破局的思考が直接的に、または逃避・回避行動を介して間接的に日常生活に悪影響を及ぼし、痛みは慢性化するとしている。ゆえに慢性疼痛疾患ないし痛みを有する病態を理解する際に、心理的因子の影響を評価することは重要である。そこで本研究では、変形性膝関節症患者における痛みの程度と心理的因子としての痛みに対する破局的思考の関連性を検討した。【対象と方法】当院に外来通院している膝OAの診断されている患者32名のうち、回答不備を除いた21名(男性11名、女性10名、平均年齢64.4±11.2歳)を対象とした。痛みの機能的尺度は、痛みの程度と痛みによる活動制限を評価する質問紙法として日本整形外科学会が推奨する変形性膝関節症患者機能評価尺度(以下、JCOM)を構成する項目の中から、膝の痛みの項目を抜粋して利用した(JKOM-P)。JCOM-Pの痛みの項目は、8項目の質問からなり重症度により0から4の5段階で評価し、数値化した合計点数を採用した。痛みに対する心理的因子の評価は、痛みの破局的思考の評価として信頼性の高い、松岡らのPCS日本語版を用いて調査した。PCSは13項目の質問からなる質問紙法であり、あてはまる破局的思考の程度を0から4の5段階で表し、その合計点数と、反すう、拡大視、無力感の3つの下位尺度それぞれの点数を算出した。統計学的解析は、JKOM-PとPCS合計点数、反すう、拡大視、無力感の点数をそれぞれPearsonの相関係数にて行い、さらにJKOM-PとPCS13項目のそれぞれに対してSpeamanの相関係数を用い解析した。【説明と同意】対象者には本研究の主旨を十分に説明し、承諾を得た上で実施した。【結果】JKOM-PとPCS合計点数、下位尺度である反すう、拡大視、無力感との相関は認められなかった。質問13項目それぞれの検討では、質問5「これ以上耐えられないと感じる」にのみ有意な相関が認められた(r=0.45,p < 0.05)。その他の質問との相関関係は認められなかった。【考察】痛みに対する評価として、田中らは、運動器疾患患者を対象にVASとPCS13項目すべての質問との間に有意な相関があり、痛みに対する主観的尺度であるVASは心理的因子の影響を受けやすいとしている。本研究では、JKOM-PとPCS合計点数、各下位尺度との相関は認められず、PCSの質問5の「これ以上耐えられないと感じる」にのみ相関関係を認めた。このことから機能的尺度であるJKOM-Pは、主観的尺度であるVASに比べ、心理的因子の影響を受けにくいことが考えられる。痛みの評価において、VASとJKOM-Pを組み合わせることで、情動による痛みの助長の変化も踏まえた評価が可能になることが示唆され、有効な痛みの評価方法として利用できると考える。【理学療法学研究としての意義】JKOMによる痛みに対する機能評価尺度と主観的尺度であるVASを組み合わせることで、心理的因子の影響も踏まえた痛みの評価が可能になることが示唆された。今後はJKOM-PとPCSに加え、VASの評価を組み合わせながら、経時的変化を踏まえ、臨床での有効性について知見を重ねていきたいと考えている。
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© 2013 日本理学療法士協会
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